2018/10/25

シンプルに考えると見えてくるものがある

今年も、気が付くともう半年が過ぎました。いつの間にか夜も肌寒く、10月も終わろうとしています。そうすると、本年度の事業見通し資料の作成に始まり、来年度の予算作成、事業計画などの動きが活発になってきているかと思います。

 

マーフィーの法則ではありませんが、そんなときに限って飛び込んでくるのが、重要性の軽重にかかわらず、やっかいな調整事や会議です。

 

企業にはびこる「会議」という儀式

私はこれまで3つの会社で働いてきました。いずれの会社も全く違う業種です。興味深いのはどの会社でも生産性の低い会議が同じように繰り返されているということ。

しかも、会議をすることに思い入れを持っている人が少なからずいるということでした。

 

とある財閥系の製造業に席を置いていたころ、新規事業開発の業務に携わっていました。

 

もちろん企画、製造計画、マーケティング、人員計画、予算……。新規事業開発ですので、コンパクトであっても、ありとあらゆる性格の業務が飛び交っています。

 

事業見込みを推定する営業会議のはずが、いつの間にか製造部門への愚痴を述べあって終わったり、新規の顧客獲得の成果報告に終わってしまうことが日常茶飯事でした。

 

しかも、参加者それぞれに思い思いのアピールするために、参加者自身はとても充実感や達成感を感じながら、「あとヨロシク」でその場がタイムアップしてしまう。

 

後はお決まりのように、データを各方面から集めて集約し、報告書のテンプレートに落とし込んでその年の事業見通しと来年度予算策定の基礎資料がまとまる。

 

「じゃ、あの2時間はなんだったんだ」と思いながら上長に報告書を上げる。

 

本来議論されなければならないことが忘れ去られて、明後日の方向を向いたありきたりな結論が議事録として残り、その議事録をベースにしたビジネス指示が出てしまう。こうしたことはだれしもが経験しているのではないでしょうか。

 

生産性は先進国中でも最下位

日本企業の会議はすこぶる評判が悪いようです。はやりの言葉で表現すると、「生産性が低い」と言い切っていいでしょう。

 

日本生産性本部が毎年発表している『労働生産性の国際比較』の2017年版によると、日本は1990年代前半から、先進7カ国で最下位を更新し続けています。背景には、サービス産業やホワイトカラー職場での伸び悩みがあるとの分析がなされています。

 

限られた時間の中で、様々な要因が幾重にも重なり合った事案をポイントが絞り込めない状態で議論を進めても、何も決まらない、何も進まない、何もわからないという結末だけが待っています。そうした後に残るのは、会議をしたという事実だけ。しかも、会議をしても決まらないので、何度も会議をするということになります。

 

そもそも自分で判断して業務をこなすことができる人は会議なんかしたがりません。

 

ホワイトカラーの仕事の3割から5割を会議が占めていると言われていますが、日本の生産性を低くしているのは、先に上げたような、情報共有がほとんどで、必ずしも集まる必要がなかった悪名高い会議という名の「儀式」にほかなりません。

 

シンプルほど強いものは無い

そんなケースに出くわしたとき、どうしたらよいか真剣に悩みます。

 

私の場合、無理矢理にでも枝葉をそぎ落とし、全体の構図をシンプルに考えるようにしています。世の中にあるほとんどの「もの」「こと」はとてもシンプルに出来上がっているのだと考えると、物の見方が変わってきます。余裕が出てくるのです。大事なのは「無理矢理」にでもシンプルにしてしまうところにあります。

 

先程述べた新規事業プロジェクトの最終段階の会議では、次のようなことがありました。パイロットプラントでの事業性評価も終わり、製造ラインに移行する段取りに話が移ります。そうなるともう後戻りはできません。事業開発という意味ではそれまでバイプレイヤーだった人事からよもやの発言。

 

「人の確保が難しいので、各部署で兼務体制で行けないか」との人事部の発言に、「回せるスタッフがいない」「業務を見直さなければ結論が出せない」からはじまって、そのうちに、予算がどうした、実機での製造計画はどうなっている……など、お決まりの脱線ゲームが始まったのです。

 

そうした脱線ゲームではその上で「…で、どうするの?」とこれまたシンプルにつぶやくのです。これは会議の場だけでは無く、自分の思考を整理したり、十分な情報の無い中で判断をしなければならない時などにも応用できます。芯さえ明確にしておけば、それに付随することは全て雑事と考えることです。

 

牧田幸裕氏の『得点力を鍛える: 「やらないこと」を決めて努力を最適化する技術』(東洋経済新報社、2012年)には、生産性を上げるためには「やらないことを決める力」が必要だと説かれています。「やらないことを決める」というアプローチを、「…で、どうするの?」というシンプルに考えるアプローチと比べると、同じようなパターンに見えるかもしれません。

 

ただ、実際に行動や思考プロセスに落とし込んで見ると、問題解決へのアプローチの違いを実感できるはずです。「やらない」もしくは「捨てる」という排除する思考プロセスと「…で、どうするの?」という選択の思考プロセスでは、スピード感が異なってくるはずです。ものは試し。ぜひ一度トライしてみてください。頭の使い方が大きく異なっていることに気がつくでしょう。

 

植木屋の思考に学ぶ

これは樹木の剪定に似ているかもしれません。

 

私は、ある高齢の植木屋さんに剪定について聞いたことがあります。

 

剪定はその樹木の成長に欠かせない、もしくはイメージするデザインに仕立てるために欠かせない枝を見極めるところから始まります。

 

樹木の大小に関わらず、まず幹を考え、その幹の成長を支える枝を決めます。次に、来年の成長期にどこに枝を這わせるのか、どのあたりに新しい枝を誕生させるのかの樹木全体のデザインを決めるそうです。

 

こう考えると複雑な作業のように思われるかもしれません。ただ、そのプロセスも非常にシンプルです。

 

まず幹を考えている時は枝のことは絶対に考えない。

 

枝のことを考えているときはデザインのことを考えない。考えるポイントを徹底的に絞り込み、順を追いながら整理していくのだそうです。

 

それが決まるまでは剪定ばさみを持たずに、ただ、じっと眺めているだけ。

 

それを一気にやろうとするのが素人。あれこれ考えて「ああしよう」「こうしよう」と考えるから、翌年になると、とんでもなくみっともない樹木になってしまう。職人は必要なことだけを考え、作業内容を大胆かつシンプルにする。だから、丸裸に剪定しても翌年には見事な樹木が再現される。そのプロセスを瞬時にやってのけているのだそうです。

 

牧田幸裕氏の『得点力を鍛える: 「やらないこと」を決めて努力を最適化する技術』(東洋経済新報社、2012年)には、生産性を上げるためには「やらないことを決める力」が必要だと説かれています。「やらないことを決める」というアプローチを、「…で、どうするの?」というシンプルに考えるアプローチと比べると、同じようなパターンに見えるかもしれません。

 

「やらないことを決める」アプローチを採っているのか、「シンプルに考える」アプローチ」なのかは、その人の個性やマインドセッションに依るものと思います。方針が決まるまでは剪定ばさみを持たないということを考えると、意識するとしないとに関わらず、前者のアプローチを採っているのかもしれません。

 

「…で、どうするの?」というワイルドカード

口達者な人の中には、難しい方へ議論を展開するのがお好きな方もいます。バツが悪いことにそうした人は上長であるケースが少なくありません。複雑な状態のままで議論を進めると、いつのまにか本来の問題と関係のない話をしていることの方が多くなってしまうものです。

 

そうした際に、相手が話している内容の一部を否定することが必要になってしまう「やらないことを決めるアプローチ」ではその人に不快な思いをさせるだけではなく、話の最後まで聞かなければ「何をやらないか」というのも決められません。時間の無駄と割り切って付き合うしかなくなります。

 

それこそ時間が惜しい時、とにかく本来の趣旨に戻したい時には「やらないことを決めるアプローチ」ではなく、相手の話を一旦受け止める姿勢が見える「…で、どうするの?」と、それこそシンプルな疑問を投げかけが功を奏します。
短時間で軌道修正を図れるだけではなく、その人の話の流れを否定するものではありませんので、気分も大きく損ないません。うまくすれば、「…で、どうするの?」という問いかけに、本人自らがある程度の解を示してくれる可能性も否定できません。

 

押し寄せてくるやっかいな調整事も、会議という非生産的な企業儀式も、シンプルに考えれば何とか突破口を見つけることができるはずです。なんだってシンプルにしてしまえば、誤魔化しようも、逃げようもないのですから。

 

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