2019/03/26

【人材営業のマネジメント経験から考える】部下のコミュニケーション能力向上に有用な5つの施策

管理者として営業や販売チームをマネジメントする場合、部下のコミュニケーション能力向上は重要な課題です。チームで売上をつくる際は個々のメンバーのコミュニケーション能力の有無が大きく影響するからです。

 

しかし部下のコミュニケーション能力を向上させることは簡単ではありません。部下の教育で頭を悩ませた経験は、管理者として働いていると誰もが一度はあるのではないでしょうか。

 

部下のコミュニケーション能力を向上させるためには、効果が見込める施策を考えることが必要です。

そこで本記事では私が実際に取り組んだ、人材業界企業の営業部でのマネジメント経験を元に、コミュニケーション能力向上に有用な5つの施策を紹介していきます。

 

コミュニケーション能力を向上させるために理解しておきたいこと

コミュニケーション能力とは、単純に言葉が巧みなことを指すわけではありません。口数の少ない営業が大きな売上をつくることからも分かるように、実はコミュニケーション能力には言語と非言語の二種類があります。

売れる営業は言葉以外の振る舞いや相槌、気配り、そしてほんの少しの言葉だけでクライアントからの信頼を獲得していることが少なくありません。

 

これはマネジメントにも通じることですがコミュニケーションは、言葉だけではなく自分が相手に与える情報の全てでやりとりしていることを理解しなければいけません。

相手の心を動かすコミュニケーション能力を身につけるためには、立ち居振る舞いや雰囲気を含めた、「非言語のコミュニケーション能力」を意識的に身につけることも必要なのです。

 

非言語のコミュニケーション能力とは

非言語のコミュニケーション能力はビジネスマンの研修として実施されることもあり、NLP(神経言語プログラミング)ではノンバーバルコミュニケ―ションと呼ばれています。

NLPとは1970年代に数学者のリチャード・バンドラーと言語学の助教授であるジョン・グリンダーが体系化した人間心理・コミュニケーションに関する学問です。米国ではオバマ元大統領やクリントン元大統領も学んだことで知られている学問でもあります。

 

非言語のコミュニケーションとは、文字通り言葉以外のコミュニケーションを意味しています。

普段から意識していないと非言語のコミュニケーションについて、イメージすることは難しいかもしれません。しかし言葉以外の相手の情報は、視覚に深く注意を向ければ誰にでも見えるものです。

 

例えば相手の表情が曇っていれば、言葉を発して居なくても気分が優れないことは誰にでも分かります。

相手が嬉しそうな表情をしていれば、ポジティブな感情であることが分かりますよね。

また身振り手振りを観察するだけでも、相手の性格や感情はある程度予測することができます。

 

さらに口角の上がり具合、瞳孔の開き具合、姿勢、視線の動き等からも、感情は読むことができます。

このような観察の訓練は突き詰めるとキリがありませんが、営業や販売に活かす程度であれば日々の努力で獲得することができます。

相手の目の瞳孔が開いているのか、それとも閉じているのか。この程度であれば目を見て相手と会話していれば当たり前に分かることです。

 

相手が目を見開いて、瞳孔が開きながらあなたの話を聞いていたとしたら、それは会話の内容に興味があるということです。

このようにたった一箇所、瞳孔をチェックしながら会話することを覚えるだけで、クロージングのタイミングまで分かるようになります。

 

また視覚だけでもある程度の意志の疎通やコミュニケーションはできるものです。これはサッカーやラグビー等、スポーツ経験がある人には掴みやすい感覚かもしれません。

 

これら非言語の視覚情報は意識的に見なければ、見ることはできません。コミュニケーション能力向上のために、部下に対してできる最もシンプルな指導は「相手をよく見ること」です。

これは営業や販売の現場では良く言われることの一つですが、実際に販売や商談においては非常に重要です。

部下の全員が非言語情報を意識してコミュニケーションできるようになれば、チームのコミュニケーション能力は全体的に向上させることができます。

 

部下のマネジメントに非言語のコミュニケーション能力が必要となる理由

マニュアルだけで仕事を深く理解できる部下は、優秀な一部の部下に限られます。

そのため多くの部下をマネジメントする際は、非言語の情報に意識を向けることが欠かせません。

 

相手の感情をある程度でも読み取ることができれば、最適な言葉を選ぶことができます。

相手の表情を見て何が分かっていないのか予想できれば、最適な教育・指導が可能となります。

 

そして部下がついていきたくなると思う上司は、自信に裏付けされた独特の雰囲気があるものです。こういった雰囲気を醸し出すことも、非言語のコミュニケーションに含まれます。

 

これらのことから、管理者として非言語のコミュニケーション能力を向上させることには二つのメリットがあることが分かります。
一つは部下への指導が最適化されること。
そして二つ目は管理者として部下からの信頼を獲得しやすくなる、ということです。

 

コミュニケーション能力向上に役立つ5つの施策

ではここからは、コミュニケーション能力向上に使える具体的な施策について見ていきましょう。

私が実際に人材業界の営業部で実施して成功した、コミュニケーション能力向上のための施策を厳選して紹介していきます。

 

【施策1】結論から話すことを徹底させる

マネージャーとして部下のコミュニケーション能力を向上させたいなら、結論から話すことを徹底させることが大切です。

営業としての基本でもありますが「結論から話すこと」を徹底できなければ、社内の連携に支障が出るだけでなく、クライアントを不快にさせるリスクもあるからです。

 

私が長く務めた人材業界の営業は複数の案件の担当となれば、百名を越える派遣スタッフの就業を管理する場合があります。すると毎日のようにトラブル対応が発生します。

管理者となると一日に複数の問題が発生することもあるため、結論から課題についての議論をしなければ

1件の課題の解決に時間がかかってしまい、解決すべき問題が山積みになるリスクがあります。

 

そのため部下が結論から話していない場面を見つけたら、その場で徹底して注意する厳しさも必要です。

この指導は根気がいりますが、三ヶ月~半年ほど徹底すれば、回りくどく話す癖がある部下でも改善が見込めます。

 

【施策2】ロールプレイングを繰り返し練習させる

部下のコミュニケーション能力を向上させるならロールプレイングを繰り返し練習させることは欠かせません。応酬話法や質問に対する回答を頭で理解していても、話慣れていなければ咄嗟の時に言葉が出てこないからです。

 

そしてコミュニケーション能力が低い部下がチームにいた場合、向上するペースは遅くても焦ってはいけません。何故ならコミュニケーション能力が低い部下でも、将来伸びる可能性は充分にあるからです。

 

コミュニケーション能力が低い部下が営業の販売の職種として就業すると、最初は必ず苦労します。しかしその一方で謙虚な心と、忍耐力を養うことができます。

実際にコミュニケーション能力が低い部下でも2~3年後にトップセールスになることは珍しくありません。これは実際に私の部下にも知人の会社でもあったケースです。

 

このようなことを考慮すればマネジメントにも忍耐は必要だといえるでしょう。新人の部下が入った場合は特に、基本を身に付けさせるためにもまずはロールプレイングを淡々と練習させることが大切です。

 

【施策3】勉強会を部下同士で自主的に実施させる

部下のコミュニケーション能力を向上させる施策としては、勉強会を部下同士で自主的に実施させることも有用です。

営業や販売職なら資料作成、プレゼンテーション、交渉術など様々な学ぶべき知識があります。これらの業務上必要となるスキルに関する勉強会を、部下同士で自主的に実施させましょう。

 

この自主的に、というところがポイントです。

実際に私が実施したことで分かったことは、各々の担当者が得意なスキルについて講義をするため、営業力の底上げが期待できることです。

また講義を実施するためには、内容を企画して、プレゼンも実施しなければいけません。

すると集団に対するスピーチも上達します。結果として回を重ねるごとに、部下のコミュニケーション能力の向上を期待することができるのです。

 

またこの施策は部下の自主性を育むだけでなく、各々の強みも明確に把握することにも役立ちます。

業務量が多い部署の場合は月に1回程度の実施頻度なら、業務への負荷もそこまで大きくありません。

講義を担当する部下をローテーションで担当制にすれば一人にかかる負担も少なくなり、施策として継続を見込むことができます。

 

【施策4】他業界の接客/営業を経験させる

コミュニケーション能力を向上させるためには、他業界の接客を経験させることも役立ちます。

不動産や車など高額商品の購入ほど、気に入った販売員から買いたいと思うものです。

またその逆に気に入った商品があったとしても、この販売員からは買いたくないと思った経験は誰にでも一度はあるのではないでしょうか。

 

つまり顧客として色んな業界の接客や営業を受けることが、業務にも活かせる学びへとつながるのです。

心地よいコミュニケーションとはどのようなものなのか、観察する視点を持って商品のプレゼンを受けることは、自分のプレゼンについて考え直すきっかけにもなります。

 

さすがに業務中に他業界の接客を受ける体験をさせることは、会社として難しいかもしれません。

しかしプライベートの時間に取り組めるスキルアップの手段としては有用な施策です。私は部下から営業力やコミュニケーション能力の向上について相談された際に、上記施策を指南していました。

 

【施策5】昼食・飲み会を通じて雑談の機会を増やす

部下との雑談の機会を増やすことは部下のコミュニケーション能力の向上につながります。

雑談力は、コミュニケーション能力が高い人と同じ時間を過ごすことから学ぶことができるからです。

昼食や飲み会の機会は雑談に適しているので、このような機会を利用することはコミュニケーション能力向上の施策として有用です。

 

また販売職や営業職にとって雑談力は最も必要なスキルでもあります。

どの業界でも売れる営業ほど売ろうとはしないものです。売れる営業は短い雑談で信頼させる、もしくは短期間で信頼関係を築いた後に商談に入ることで成約率を高めています。

 

実際に私は飲み会や食事によって部下とのコミュニケーションを深めた結果として、業務中の情報共有がスムーズになったことを実感しています。

 

一人ひとりの個性に合わせた指導を忘れてはいけない

ここまで紹介してきた施策はいずれもコミュニケ―ション能力向上に有用だと私が個人的に実感したものばかりです。しかし実施することによって得られる効果には個人差があることを忘れてはいけません。

 

またコミュニケーション能力は一朝一夕で身につくものではありません。

成長が遅い部下に対しては、待つこともマネジメントとして大切です。

成長のペースをある程度個人に委ねてマネジメントすることは、手間と忍耐が必要です。しかしこのようなマネジメントが上手くいけば、部下は恩義を感じて業務に高いモチベーションを持つ可能性が高くなります。

部下のコミュニケーション能力向上のために施策を実施する際は、一人ひとりに個性に合わせた指導も取り入れることをおすすめします。