2019/01/22

エニアグラムを使った9タイプのマネジメント方法

部下の指導や管理などのマネジメントで悩んでいる管理職の方は少なくないことでしょう。自身が上司にされた管理法を実施したり、良かれと思うマネジメント方法を試したりすることでうまくいくこともあれば、全く機能しないこともあります。それは性格に合わないマネジメント方法を実施している可能性が考えられます。今回はエニアグラムを使ったタイプごとのマネジメント方法をお伝えします。

エニアグラムとは

性格は一人ひとり異なります。おっとりした性格の人もいれば、成功を第一に考える人もいます。それぞれの性格は大きく9種類に分類されます。心理学の理論の一つである「エニアグラム」において、すべての人は9種類のうち1つをもって生まれてくるとされています。

 

根拠としては鈴木秀子(1997)「9つの性格」にてエニアグラムは「ユングの集合的無意識との共通事項を含んでいた」と記され、集合的無意識とは「人間には、生まれつき備わっている無意識レベルのパターンやイメージがあり、それは生後の個人の体験により、個々の性格に強い作用を及ぼす」と示しています。

 

さらに「約2000年前にアフガニスタン地方で生まれ、門外不出の秘伝として代々口伝されていた。20世紀中ごろに米国スタンダード大学の心理学者が研究を開始し、約10万人を対象にした検証では、すべての人が必ず1つのタイプに分類され、比率はおよそ9等分になった。」との記載もあります。

 

以上のことから、エニアグラムが9つに分かれた由来については、エニアグラムそのものが秘伝あり、口外を許されなかったことから記録そのものはありません。しかし近年の研究においての調査においてもすべての人が必ず1つのタイプに分類されることが解明されました。

 

エニアグラムとは鈴木秀子(1997)「9つの性格」によると、「『エニアグラム』という言葉は、ギリシャ語で「9」の意味を持つ「エニア」と「図」の意味を持つ「グラム」の合成語で、「九つの点を持った図を意味する」とされ、「人の本質は必ず9つに分類できる」と記されています。

 

エニアグラムでは各タイプごとに性格特徴が大きく異なり、長所や短所、行動の特性や陥りやすい思考の罠があると考えられています。

9つのタイプの性格特徴

鈴木秀子(1997)「9つの性格」に基づいて9つのタイプごとの性格特徴を簡単に説明すると、「タイプ1は完全でありたい人、タイプ2は人の助けになりたい人、タイプ3は成功を追い求める人、タイプ4は特別な存在であろうとする人、タイプ5は知識を得て観察する人、タイプ6は安全を求め慎重に行動する人、タイプ7は楽しさを求め計画する人、タイプ8は強さを求め自己を主張する人、タイプ9は調和と平和を願う人」となります。

 

すべての人に長所と短所があるように、すべてのタイプにおいてもプラス面とマイナス面の両面が存在します。組織においてはタイプ1の完璧を追求する姿勢やタイプ3の成功を追い求める意欲に利点を感じ、タイプ1や3の人が多いとの発想に陥りがちですが、必ずしもそうとは限りません。

 

各タイプのマネジメント方法

各タイプごとに性格が異なるように、部下のマネジメント方法も変えることが大事です。適切な管理、かかわり方をすることで、部下の持ち味を生かすことができます。

 

 

タイプ1

20代女性のTさんはオペレータの仕事をしているタイプ1の人です。勤勉でミスなく仕事をする姿は上司としても安心してみていられます。タイプ1は完璧さを追求する姿勢が強く、仕事の精度やスケジュール管理はお手の物です。一方で正しさや完全さにこだわり、ときに激しい自己批判に向かいます。

 

Tさんも仕事の精度の高さから任される仕事の範囲が増えた際に、最初から十分に仕事がこなせない自分に対して落ち込みや自己否定が強まり、うつ病に近い症状が出ました。体調も芳しくなく、仕事を休む日も出てきました。

 

これまでTさんのフォローは一切しなかった上司ですが、こまめにTさんに声をかけるように変えました。落ち込んでいる日にはお茶や食事に誘い、上司も過去に多くの失敗経験をしていることを話し、最初から完璧を求める必要がないことを繰り返し伝えました。同時に、愚痴を聴くようにしました。

 

結果、徐々にTさんがストレスを抱え込みすぎることが減り、元気を取り戻しました。タイプ1は仕事ぶりは優秀であることが多いですが、完璧主義ゆえにストレスに弱い面があり、上司としてまめなフォローが求められます。

 

 

タイプ2

20代女性のAさんは料理人として働いているタイプ2の人です。困っている人がいるとほっとけないAさんは、調理場で人手不足なときにすぐに気付き、自分の仕事以外でも率先して手伝うくらいの性格です。面倒見がよく、後輩の女の子の愚痴を聞く相談役を引き受けたり、遅くまで片づけを率先してやったりなどの仕事熱心さもありました。

 

しかしある日、「私はこの会社で必要とされていない」と辞表をいきなり出してきたのです。タイプ2の人は人の面倒を見て、周囲に愛情を配るのを好む性格です。しかし無償の愛ではなく、無意識の「感謝されたい」「必要とされたい」気持ちの表れとして、行動に移しているに他なりません。

 

上司はこれまでAさんへの感謝の気持ちを伝えたことはありませんでしたが、この日以来「いつもありがとう」「助かっている」「Aさんがいないと困る」とAさんの必要性を毎日伝え続けました。結果、Aさんの退職を免れ、持ち前の優しさを職場内で活かし続けています。

 

 

タイプ3

30代女性のHさんは総合職として働くタイプ3の人です。呑み込みも早く、テキパキとこなす仕事ぶりから、プロジェクトリーダーとして任され、全力投球していました。無駄がない効率的重視で、スキルアップや出世などに意欲的な姿は、上司からは向上心の高さとしてプラスに映っていたそうです。

 

一方で、タイプ3は一方で、実績や能力に重点を置きすぎて、ワーカホリックになることも少なくありません。また、失敗しそうな計画やミスの多い部下、生産性の悪い計画を嫌い、避ける側面もあります。

 

Hさんのチーム内には、頑張ってはいるものの効率の悪いメンバーや集中力がなくて仕事の成果の優先順位が低いメンバーもいました。彼らに対してはかかわりを避け、プロジェクトの進行が良くないことを彼らのせいにしてしまう局面もありました。上司は優秀なHさんを信頼してそのままにしていましたが、しだいにチーム内からの反感が出始めて、ギスギスしてきました。

 

成果を追うことも大事だけれども、チームメンバーを思いやることやできない理由について耳を傾けることも仕事においては重要なことです。上司はHさんと個別でリーダーの在り方やチームビルディングについて、個別面談を繰り返しました。1度だけでは「仕事は成功させます」「問題ないです。ちゃんと成果を出します」とHさんが事実を直視できなかったからです。

 

成果第一主義のタイプ3は組織においてリーダーとして活躍することが多いですが、成果や効率だけに重点を置いてしまうと、メンバー内の反感を買ったり、対立を招いたり、ひどいバイアには離職をも招くことがあります。Hさんの仕事ぶりに対しての良い評価を伝えた上で、改善すべき態度を繰り返し伝え続けることが必要になります。伝え続けることで、チーム内の対立が起きた際にも相手の主張をまずは聴く姿勢を持つことができ、大きな対立やいざこざはなくなりました。

 

タイプ4

20代女性のWさんは事務系のお仕事をしているタイプ4の人です。独特な感性があり、Wさんの発言からはユニークなアイディアが次々に出てきます。多くの人が忌み嫌う死や絶望、悲しみや孤独なども味わうことができる性格から、深く相談に乗る優しさもあります。一方で浮き沈みが激しい感受性の強さや傷つきやすいデリケートな側面もあります。

 

Wさんが仕事でミスをした際に、厳しい叱責を受けました。もともと自己肯定感が低く、自己評価が悪いタイプ4は深く落ち込み、自分の殻に閉じこもります。激しい落ち込みと他者と大きく距離を取る様子に、上司も異変に気付いてフォローをしましたが、聞く耳を持ちません。

 

タイプ4は傷つきやすいだけでなく、立ち直りも非常に遅いです。むやみに励ましても、「自分なんて」と卑屈に捉えることもあるくらいです。タイプ4は特別感に弱い特徴があるため、そこを抑えてフォローすることが大切になります。

 

このケースも上司が仕事の指示を出す際に「この仕事はぜひとも君にやってほしいんだ」と特別感を持たせました。仕事で評価できる面においては、面と向かって「着眼点がいい」「センスがいい」などのと褒めるようにしました。結果として、比較的早めに落ち込みから立ち直ることができました。タイプ4はデリケートで落ち込みやすいため、特別感を感じさせ、褒める行動を頻繁にとることが、有効です。

 

 

特別であることがタイプ4にとっては、自信を取り戻すことになり、プラスに働きます。しかしタイプによっては、公平でない接し方は、かえって部下の反感を招きます。後半ではタイプ5からの各タイプの管理法、マネジメント法を解説します。

 

タイプ5

20代男性のSさんは技術職のタイプ5です。無口で物静かなSさんは、周囲を見渡して行動することが多い性格です。業務においては非常に慎重にこなし、少ない情報や指示からも正確に理解する力があります。

 

しかし、急な予定の変更やスケジュールの変更をひどく嫌がります。リスケジュールに伴う変更によって、業務が押してくると逃げ腰になるところがありました。上司としてはモチベーションアップのために「君なら完璧にできるはずだ」「君のことを信頼しているよ」と伝えると、Sさんの仕事はかえって遅くなることもありました。

 

上司としては対応に困惑しました。しかしタイプ5には急な予定変更に順応しにくく、変更時には論理的な説明がないと納得しないため、動かないことがあることを知り、数字を多く用いてロジカルに説明をするようにしました。

 

また、タイプ5は急な予定変更時にはプレッシャー負けすることもあるため、「期待している」「信頼している」などのフレーズも逆効果になりかねません。余計な言葉を入れることなく、変更時には素早く何がどのように変更になるのか、変更が生じた理由はどこにあるのかなどをロジカルに伝えることで、Sさんは業務の全体像を見渡すことができ、大きな動揺なく着々と業務に邁進しました。

 

 

タイプ6

40代男性のAさんはIT系の仕事に従事しているタイプ6の人です。ふだんは真面目に仕事に従事し、後輩の困りごとも率先して面倒を見る優しさや世話好きな性格でもあります。大きく目立つタイプではありませんが、縁の下の力持ちとして活躍していました。

 

しかし、上司が若手になると一変します。指導力が十分でなく、納得のいく説明のできない上司になって、Aさんは上司と口論になることも増えました。Aさんは従来まではチームメンバーが仕事しやすいように先回りしてサポートしていた部分をやめ、最小限の仕事だけをやるようになりました。

 

これは納得のいかない指示や命令など、尊敬できない上司を感じると、分が悪かったとしても頑固として反発する姿勢がタイプ6にはあるからです。

 

このケースでは上司が若手のため、Aさんに対して誠実に「まだ経験が浅いから、Aさんの知識や経験などの力を貸してほしい」「今までは力不足できちんと指導できなくてすまなかった。これからは業務の方向性をきちんとする」と伝えるようにしました。

 

もともとタイプ6は面倒見がよく、情け深い性格です。誤りに対して、きちんと謝罪をし、改善の姿勢を示す人を好みます。誠実な姿勢を上司がとったことで、後輩のサポートだけでなく、今度は上司が仕事をしやすくなるようにサポートするようになりました。

 

このようにタイプ6からの反撃や批判、口論をもらった場合には、誠実に自分の力不足を受け入れて、きちんと相手の主張に耳を傾けた改善策を取ることが大切です。納得のいく説明や誠実な振る舞いに対しては、タイプ6は非常に強力的であり、反発から協力へと一転することもあります。頭ごなしに命令をする管理法では、タイプ6は反発がエスカレートし、退職に至る恐れもあるので注意したいところです。

 

 

タイプ7

20代男性のKさんは接客業をしているタイプ7です。人と話すのが好きで、Kさんと話していると、憂鬱な気持であっても楽しい気持ちになるなど、ムードメーカー的存在でもあります。ユーモラスな話しぶりで、お客様ともすぐに打ち解け、営業成績も上々です。

 

けれども、両替や売上げ報告、日報や掃除などの時間は退屈なのか、可能な限り避けようとすることがしばしばです。もちろん、仕事のため一人だけ両替担当をしないことや清掃をやらないなどが許されるわけではありません。

 

タイプ7の人は楽しさを見出す才能があり、どのような局面であっても明るい面を見ることができる前向きさがあります。アイディアが次から次へと湧き出るアイディアマンとして活躍することも多々あります。一方で、苦しみを避けて、面白いことだけをやりたい気持ちも秘めています。ルーティンのような変わり映えのしない仕事はタイプ7にとっては苦痛になりやすく、他の人に押し付けたり、その時間になるとタバコやお手洗いなどに逃げる人もいるほどです。

 

上司はルールだからやるようにと言いましたが、たまたまお手洗いに行っていただけだと非を認めませんでした。タイプ7の性質として、論理的な解説には理解を示しやすい節があり、否定的な意見には耳を貸さない節があります。

 

ガミガミ注意しても意味がないため、上司はKさんに清掃によって清潔感が保たれ、来店率の上昇や売上上昇にも通じること、売り上げを記録することで売れ筋や季節ごとの変動などを追えて、顧客満足度や売上上昇に通じることなどを説明しました。論理的な解説にKさんは従うようにはなりました。

 

タイプ8

30代男性のOさんは営業職のタイプ8です。自社商品はすべての顧客に必要に違いないとの考えで、全く購入意思のない顧客にも一切ひるむことなく、説得を3時間続けられるくらいのバイタリティのある方です。嘘を嫌い、正直に製品の魅力を信じ切っているOさんの話し方は堂々とし、買う気のない人も買う気にさせることもたびたびあります。

 

自己主張が激しく、迫力ある話しぶりは自信にあふれているように映ります。一方で、頑固として主張を譲らない姿勢は、顧客からのクレームに発展するケースもあります。社内においても、自身の主張が正しいとの意見から譲らずに、社内でも嫌煙されることも少なくありません。

 

上司としては、営業成績は悪くはないけれど、クレームの多さと社内での軋轢の多さなどの側面で、トラブルメーカーにも映っていたそうです。当初、人の話を聴くことも大切だとやんわりと伝えたそうですが、かえって上司へも激しい抗議に至り、上司の方が距離を置いてしまう事態になりました。

 

しかしタイプ8からの抗議や攻撃は、悪い意味ではありません。タイプ8にとって喧嘩は悪いものではなく、一種の愛情表現であるからです。タイプ8の上司にはそのことを知ってもらい、意見の対立が生じた際にも妥協することなく言い合うようにしてもらいました。

 

結果として、Oさんからの信頼を得ることができ、一度は相手の主張を聞くことを実践するようになりました。タイプ8の部下相手ならば、対立を避けて妥協する人間は啓月対象となり、従うことはほぼありません。たとえ揉めることになったとしても、しっかり自己主張をし、一貫した態度で臨むと、尊敬し始めて意見に従ったり、協力的になったりします。

 

タイプ9

20代女性のMさんはセミナー運営の会社に従事しているタイプ9の人です。Mさんの穏やかな雰囲気は職場にいるだけで空気が柔らかくなります。言われた仕事はこなすのですが、いつも段取りが悪く、セミナー会場を抑えるのも直前となり、必要な資料をまとめるのも締め切り前になることがしばしばでした。

 

困った上司は「早く出して」「○○日には必要よ」と何度も説明しました。しかし、おっとりした性格ゆえか大きな改善が見られませんでした。納期を過ぎることや作業漏れがあるわけではありませんが、上司としてはもう少しスピードアップして効率的に仕事してほしいと思っていました。

 

タイプ9の人は優柔不断な人が多く、選択や決断を避ける傾向があります。期日のせまった仕事や重要な仕事を多くの人は優先的にこなしますが、タイプ9の人は決断を先送りして優先順位の高くない仕事を先に行うことがしばしばあります。決断することで心に生じる葛藤を嫌い、心の中の平和が乱れるからです。

 

タイプ9は周囲の環境の影響を受けやすく、周囲の色に染まりやすい特徴があります。上司にはタイプ9の性質を説明し、各タスクの手順やスケジュールを見える化するように変えました。最重要、重要、そうではない業務を資料として掲載しました。セミナー会場の手配の日付や段取りなどもフローとして掲載し、その手順通りに行うようにチーム全体に周知したのです。

 

その結果、Mさんの資料が出るのが遅れたり、セミナー会場を抑えたりするのが直前になったりすることはなくなりました。タイプ9の場合には、急かすよりも新しいルールを設けて、従うように促すマネジメント方法が合います。周囲の色に染まりやすい特徴から、ルールが変わることで悪い習慣も変わりやすい特徴を持っているからです。

 

あえてMさんの場合には、個別指導をしないようにしました。タイプ9には「自分には大した価値がない」という自己否定的な感情があることが多いためです。自己否定的な感情から、自分の意思に自信がなく、決められない現象が起きています。だからこそ、個別指導をすると自信を一層低下させる危険があるため、全体周知とフローの具体化という点でマネジメントを測る形になりました。

 

まとめ

すべての人にはそれぞれの性格がことなるため、自身が経験してきたマネジメント法が部下に合わないこともしばしばあります。部下の能力を伸ばす意味もかねて、エニアグラムの本やセミナーで各タイプの特徴を知り、タイプごとのマネジメント方法を知ることで、円滑な関係の維持と業務効率向上などに通じてきます。

 

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