2019/07/05

家来のリーダー?【サーバントリーダーシップ】の特徴と効果について

サーバントリーダーシップとは、部下に奉仕を心がけるリーダーシップのことです。「支援型リーダーシップ」とも呼ばれます。「俺についてこい」とか「俺の言う事を聞け」といったような「支配型リーダー」とは正反対の働き方が今、注目されています。

 

しかし本当にこのスタイルで成果が出るのでしょうか。

 

単なる「優しいリーダー」で終わってしまうのではないでしょうか。

 

ここではまずサーバントリーダーシップの特徴をあげ、それからその効果と導入事例についてみていきます。そしてどうしてこのスタイルで成果が出せるのかということについて考えていきましょう。

 

サーバントリーダーシップとは? その3つの特徴

では「サーバントリーダー」の特徴を見ていきます。

 

従来の「支配型リーダー」となにが違うのか、「部下達に対するスタンス」と「部下とのコミュニケーションの取り方」と「メンバー間の関係の築き方」の3つの面からご紹介していきます。

 

サーバントリーダーシップの特徴その1――チーム内でのポジションは「脇役」。

サーバントリーダーシップの最大の特徴は、「リーダーでありながら脇役に徹する」という点です。

 

「支配型リーダー」は組織の「主役」でした。すなわちリーダーは自分の利益を優先させ、自らの仕事力に頼って、部下には何も考えさせずに仕事を進めていきます。極端に言えば部下を機械のように利用していくスタイルです。

 

一方でサーバントリーダーとは、むしろ部下が主役です。部下が利益を得られるようにサポートしていくというポジションをとります。支配型リーダーは厳格なピラミッド構造を作り、自分がその頂点に君臨する組織構造を作るのに対し、サーバントリーダーは逆ピラミッド構造を作り、自分をその下位に位置づけるスタイルなのです。

 

サーバントリーダーシップの特徴その2――部下とのコミュニケーションの取り方は「傾聴」。

従来の支配型リーダーは部下に命令を一方的に押し付ける形でコミュニケーションをとりました。ビジョンや目的を占有して、部下は黙って従うのがよいと考えます。

 

一方でサーバントリーダーは部下の意見をしっかり聞きます。命令をする場合でもその目的やビジョンをしっかりと共有し、部下が納得がいくまでしっかり説明をします。

 

サーバントリーダーシップの特徴その3――風通しの良いコミュニティづくりを心がける

従来の支配型リーダーではチームメンバー間は競争相手として戦わせるコミュニティー作りをしていました。失敗やミスの原因も「人」にあるとし、それに対しての処罰を与えることで、メンバーの緊張感を高めます。

 

サーバントリーダーシップではメンバー同士が互いに協力し合うコミュニティづくり、そして仲間の成長を互いに促していくコミュニティづくりを中心に組織を運営します。失敗やミスの原因も「人」に置くよりも「仕組み」に置き、それを繰り返さない環境作りをしていきます。

 

サーバントリーダーシップによってどのような効果があるのか?

サーバントとは英語で「servant」。日本語にすると「使用人」や「家来」。「家来のリーダーシップ」とはまるで矛盾した言葉にさえ聞こえてしまいますが、このスタイルでリーダーシップをとると、組織はどのように変化していくのでしょうか。

 

「部下の姿勢」と「消費者に対する姿勢」それから「社内の雰囲気」という3つの視点からその変化を見ていきましょう。

 

サーバントリーダーシップによる効果その1――部下が主体的に働くようになる。

支配型リーダーシップの命令を押し付けるような形ですと、部下はやむを得ず仕事をこなす、義務感から嫌々やるといった姿勢で仕事をするようになります。そのため利己的な指示待ち人間が大量に生まれてしまいがちです。

 

その点サーバントリーダーシップは部下の意見が中心に組織が動いていくため、部下の仕事へのモチベーションが、「やりたいからやる」になります。それにリーダーが部下の利益について考えてくれているので、部下は自然と「チームのために働こう」という利他的な姿勢になれます。チームで共有しているビジョンに適うように精一杯工夫をして、チームにとって最善の結果が出るように考えて働くようになるのです。

サーバントリーダーシップによる効果その2――消費者優位の雰囲気が作られやすい。

支配型リーダーシップにおいては、部下は「とにかく上の人間の命令にさえ従っていればいい」という考え方になりがちです。組織全体の利益はほとんど考えず、上司の機嫌を伺うことに注力しているので、肝心の消費者の存在がどこかに追いやられてしまうのです。

 

しかしながらサーバントリーダーシップによって作られた逆ピラミッド型の組織ならば、部下たちも組織全体の利益を考える余裕があり、「消費者あっての組織である」という本質的な関係性を忘れません。消費者最優先の社風が作られやすいのです。

サーバントリーダーシップによる効果その3――社内の働き方についての問題が起こりにくくなる。

昨今はパワハラをはじめとする、働き方に関する問題が連日のように起こっています。しかしそのほとんどは、部下の意見をよく聞いていれば防げるものばかりではないでしょうか。黙って言う通りに従わせようという一方的な上司の圧力や、職場での脆弱な信頼関係が招いている問題なのです。

 

したがってサーバントリーダーシップによるコミュニティにおいては、そのような問題が起こりにくくなることは間違いありません。サーバントリーダーは部下の意見を尊重することを重視しているので、なにか問題があったとしても、大きく発展する前に対処することが可能だからです。

サーバントリーダーシップの導入事例

最後にサーバントリーダーシップを導入し、成功した事例を3つご紹介します。

サーバントリーダーシップの導入事例その1――アメリカ空軍。

アメリカの軍隊というと支配型リーダーの代表のようなイメージがありますが、実は違います。いや、ある種支配型リーダーの失敗をいち早く味わった組織の代表とも言えるでしょう。というのもまだ軍隊が支配型リーダーだったベトナム戦争の時期に、上官が部下から殺害されるような事件があったようなのです[1]。

 

アメリカの軍隊はそのような事件の反省から、現在、むしろ支配型リーダーとは真逆の組織の協調と信頼関係を築くことをもっとも大切にする組織になっています。

サーバントリーダーシップの導入事例その2――資生堂

『サーバントリーダーシップ入門』という書籍も執筆している資生堂元社長の池田守男氏は、日本でかなり早い段階でこのスタイルを導入した人物です[2]。

 

サーバントリーダーシップの精神を会社全体に行き渡らせ、顧客を一番上位に置く逆ピラミッド組織を構築しました。結果資生堂は次第に活性化し、経営も上向きに転じて行きました。

サーバントリーダーシップの導入事例その3――スターバックス

スターバックスの取締役である創業者のハワード・シュルツ氏と共に世界のコーヒー店まで成長させたハワード・ビーバーはスターバックスの最大の基準を「人(顧客・仲間・従業員)への敬意と愛情」においた経営スタイルをとりました。「すべての人に尽くせる人間こそが最も有能なリーダーである」「人々とともに獲得する成功ほどうれしいものはない」という考えをもとに、サーバントリーダーシップを推進し成功を収めた代表的な企業です[3]。

 

まとめ――サーバントリーダーシップとは本当に昔はなかったのか?

以上、今回はサーバントリーダーシップについての説明と、そのメリットや導入事例についてご紹介してきました。

 

昔からこのようなスタイルの上司がゼロだったのかというと、必ずしもそうではありません。あなたも「優しい上司」「話をよく聞いてくれる上司」といえばすぐに数名の顔が思い浮かぶはずです。

 

それなのに今このスタイルが〝新しいもの〟として注目されているのは、ワンマンタイプのチームではもはや成果を上げられない時代が本当に来た、ということの表れなのかもしれません。今はチームメンバー全員が全力でアイディアを出し合い、全力でそれを実現していくより高度な「組織力」を発揮しなければ成果が出せない時代なのです。

 

すなわちサーバントリーダーシップとは、単なる一つの働き方というよりも、テクノロジーの進化にともなって成熟した現在の市場において、より高い快適さと心地よさを消費者に提供しなければいけなくなっているがゆえの「時代的要請」」とも言えるのです。

 

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参照

[1] アゴラ「米空軍のリーダーシップは「強さ」より「癒し」優先だった!」http://agora-web.jp/archives/2026410-2.html
[2] 『サーバント・リーダーシップ入門』 金井 壽宏 (著), 池田 守男  (著)
[3]『スターバックスを世界一にするために守り続けてきた大切な原則』(日経ビジネス人文庫) ハワード・ビーハー  (著), ジャネット・ゴールドシュタイン  (著), 関 美和 (翻訳)