2019/04/22

一流の経営者になれる簡単な法則「強みを伸ばし、切るべきものは切る」

私的な資金流用が疑われ、そのポストを追われた日産自動車のカルロスゴーン・元CEO。

ネガティブなイメージを払拭できない晩年になってしまったが、それでも地に落ちた日産自動車をV字回復させた経営手腕そのものは、今も特筆されるべき成果だ。

 

間違いなく、ターンアラウンド(事業再生)マネージャーとしての手腕は、超一流のものであったと思う。

 

しかしその上で、筆者は敢えてカルロスゴーン氏の成し遂げた実績を、

「誰にでもできる仕事だ」と言ってみたい。

 

言葉を変えれば、少し発想と生き方を変えれば、実は誰もが、カルロスゴーンになれると思っているということだ。

 

それはなぜか。

 

彼の仕事の本質が、ただ単に

「強みを活かした上で更に伸ばし、切るべきものは切る」

という当たり前の原則を徹底したものに過ぎないからだ。

 

彼自身、経営者として台頭するきっかけとなった南米ミシュランCOOに在った時、

「人は多様性から学び、そして共通性に安らぎを感じる。」

という言葉を残しているが、これはそのような、彼の経営に対する考え方の核心を表している。

 

それは一体何なのか。

そしてどのようにすれば、誰もがカルロスゴーンのような超一流の経営者になることができるのか。

 

今回はそんなお話を少しご紹介していきたい。

 

ドラッカーを丸呑みにしても成功できない

 

話は変わるが、おそらく世界でもっとも影響力のある思想家の1人と言ってよいであろうピーター・ドラッガーの著述について、少しケチをつけてみたい。

ドラッガーはその著書、「明日を支配するもの 21世紀のマネジメント革命』(ダイヤモンド社)の中で、以下のように述べている。

 

 自分の強みを知っていれば、仕事の機会やオファー、あるいは任務を与えられたとき、あなたはこう言えるでしょう。

「はい、できます。ただし、私の仕事のやり方はこうで、仕事の組み立て方はこうです。人との関わり方はこうなります。与えられた期間内で、私が約束できる仕事の成果はこういったものになります。なぜなら、これが私という人間だからです」。

 

これは、人が自分の人生で成功するための法則について述べたもので、その唯一の原則は「自分を知る」ことに尽きると説明する下りで書かれているものだ。

なるほど、一見すると説得力があり、間違っているようには思えない。

 

しかし。

残念ながら、これはルーティンワークやありふれた仕事をこなす中で、評価される成功パターンでしかない。

 

なぜなら、このような仕事の請け方は自分ができる仕事を、自分ができるやり方で、自分がやったことのある方法でしか請けませんと、宣言しているだけだからだ。

 

「自分を知る」と言えば聞こえはいいが、これでは「自分の能力の範囲を伸ばすつもりはありません」と言っているに等しい。

この延長線上に小さな成功は存在するかも知れないが、大きな成功にたどり着くことは決してできないだろう。

 

では、どうすべきか。

 

例えば、私事で恐縮だが、29歳で、従業員が700名を超える中堅メーカーの取締役に就任したときのこと。

その時の役割は、規模こそ比べ物にならないが、カルロスゴーン氏と同じターンアラウンドマネージャーだった。

その会社のメインバンクである都市銀行の投資部長からの斡旋での就任だ。

 

だがもちろん、筆者はそんな特別な人物ではない。

大学卒業後に、僅かな間に大和證券に務めていたことはあるが、そこで受けたエクイティの教育はありふれたものだ。

 

その後、IPOブームの盛り上がりもあり発行体(株式会社)での仕事を志し、ベンチャーのCFOポストに転職するものの、程なくしてリビングデットに陥り敢えなく挫折。

だが、その時の仕事ぶりを見ていた株主の目に止まり、業績の厳しい中堅メーカーのターンアラウンドマネージャーに斡旋されただけのものであった。

 

もちろん、この時の引き抜きは、どうひいきめに見ても成功を期待されてのものではなかった。

その投資部長からすれば、

「もう誰も、まともな引き受け手はいないから、ダメ元でアイツにやらせよう」

という程度の話だ。

 

もちろんターンアラウンドマネージャーなんかやったこともない。

製造業のマネジメントすら経験がなく、どのようにすれば会社の業績が立ち直るのかなど、想像もつかないキャリアでしか無かった。

 

私が一つだけ持っていたもの

 

だが私が一つだけ持っていたものがある。

それは、自分の武器の活かし方だ。

 

それは、「数字で可視化すれば、経営でできないことはない」という強い信念と自信だ。

 

大仕事ではあったが、

「お互いに、失敗しても恨みっこなし」

というジョークも交わしながら投資部長の要請を受け入れ、役員に就任した。

 

この経緯を見て頂ければわかると思うが、私は

「自分にできることはこれだけです」

「そのために必要な期間はこれだけで~」

などという現実的な条件など突きつけていないし、考えてすらいない。

 

ただ、自分が持つ僅かな武器を根拠に、

「まあ、自分で自分を究極にまで追い込んだら、できないことはないだろう」

という程度の見通しがあるばかりであった。

 

更に言うと、

「いいチャンスだから、自分の能力の幅と裾野を広げてやろう。どうせ他人のリスクだ」

とすら、思っていた。

そして実際に、私はその会社の経営トップと何度か面談を繰り返し気に入られたこともあり、取締役に就任することになった。

 

できないことに挑戦する勇気を持てるか

結論から言うと、運良く私はその会社で実績を出すことができ、業績のV字回復を成し遂げた。

 

もちろんCFOのポジションでは、売上の上積みを作ることはできないので、同じような売上の水準でありながら様々な施策を実施し、事業部門を黒字化することに成功した形だ。

 

早い話が、品質やサービスの水準は維持しながら、各種経費の大幅な圧縮に成功したということだ。

 

ただ、こう言えばやはり切れ者の経営者に思われるかも知れないが、それも全く違う。

私のしたことと言えば、繰り返すが、なぜ利益が出ないのかを数字で可視化してみせただけであった。

 

わかりやすい事例を一つ、挙げてみたい。

 

私が取締役に就任した当初、250名もの人員が働く工場では、誰も労務管理をしていない状態にあった。

信じがたいことだが、タイムレコーダーはアナログ式でただ出勤する時に押すだけの紙であり、個人の給与支払いを計算する手段でしか無かった。

この状況を把握すると、私は直ちに工場に、エクセルにデータを落とすことができるタイムレコーダー3台を導入。

そして受注生産量に、投入する総労務時間を同期させることにした。

 

誰も労務管理をしない工場では、従業員やパートさんは会社の都合ではなく自分の都合で残業し、あるいは忙しい時に休む。

そして全く意味のない人件費だけがかさむものだが、結果としてそれは、数字の上でも顕著に明らかになった。

数字で結果が出ると、後は暇な時には人を減らし、忙しい時に出てくれるパートさんには高い時給を設定するだけである。

たったこれだけのことで、月額で数百万円のコストが適正化された。

 

私のしたことと言えば、程度の差はあれ他のどれも、実際にその程度のものだ。

その他にも、水道光熱費のエネルギーミックスを工夫するだけで、月額で500万円程は削減できただろうか。

いずれにせよ、就任早々自分にできることがあまりにも多く、成果を出すことがおもしろくて仕方がなかった。

 

経営者とは、特殊な能力を持つ特別な人なのか

 

改めて、実績を出せる経営者とは、特殊な能力を持つ特別な人なのか、という命題についてだ。

 

そしてその答えは、もちろんNOである。

カルロスゴーン氏は、ミシュラン南米を立て直した経験から、

「人は多様性から学び、そして共通性に安らぎを感じる。」

という言葉を残していることは先述のとおりだ。

 

そしてこの言葉は、

「たくさんの引き出しを持つことができた個人や組織は強い」

という意味であると理解している。

 

そして私はたまたまその会社の経営陣に不足していた、数字を見ることができる能力と、数字で明らかになった課題を徹底的に実行させる性格を持ち合わせていただけに過ぎない。

 

後は、その会社が持つ素晴らしい役職員の力を活かして伸ばし、足りない部分を補っただけだ。

 

本来は全員の手柄で、最後の一ピースが私であったと言うだけなのに、株主や銀行からなぜか私個人が、ビックリするほど称賛されることになった。

 

「才能を伸ばすシンプルな本」(サンマーク出版)のベストセラーで有名なダニエル・コイルは、その著書の中で、早くに親を失った子どもたちは、この世界が安全な場所ではないことを幼くして学習する傾向があるとしている。

そして成功への渇望が人並み外れている結果、成功する人物が多いと結論づけている。

 

そんな時に与えられた中堅企業の役員ポストは、自分の能力が及ぶかどうかが判断基準ではなく、絶対にやり遂げて這い上がってみせるという必死な思いしかなかった。

 

そしてそれが、結果として自分のキャリアと能力を相当程度広げ、人生の選択肢を広げてくれることに繋がった。

 

結局のところ、抜きん出た存在になれるかどうかは、眼の前のリスクに果敢にチャレンジするかどうか、という決断だけだ。

 

そして、リスクテイクを恐れなかった人生の延長には成功があり、リスクを恐れ現状の居心地の良さを優先した結果には、平凡な人生が待つだろう。

 

リスクテイクにチャレンジするには、決して遅すぎるということはない。

 

ドラッカーのいう「自分を知ること」も大事かもしれないが、それと同等以上に、自分のできる守備範囲を広げながら、果敢に新しい分野にチャレンジし続けることもとても大事だ。

 

その先には必ず、仕事のやりがいと、それに見合った報酬を得られることになるだろう。

 

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