2019/05/10

仕事のモチベーション管理は「既知」と「未知」の2つに分ける

仕事とは、基本的に厄介で面倒な問題を処理することが内容となります。モチベーションを保つのが非常に難しいというのが本音ではないでしょうか。

 

仕事に対して積極的になるためには、まず状況を具体的に分析することから始めましょう。そこでおすすめしたいのが「既知のタスク」の「未知のタスク」2つに分類する手法です。両者は性質が異なることから、自然と対処法も変わってきます。

 

仕事には既知のタスクと未知のタスクがある

 

既知のタスクとは

すでに何度も繰り返し業務を行っていて、作業がルーティン化しているタスクです。代表的なものとしては、経理業務や書類作成などが代表的なものとして挙げられます。また、不明な点があったとしても、誰に問い合わせたら良いか、何を参照したら良いかなど対処法が定型化している場合にも既知のタスクとして考えて良いでしょう。性質上、キャリアの長いベテランほど既知のタスクが占める割合は多くなっていきます。

 

未知のタスクとは

既知のタスクとは反対に、業務の具体的な内容やプロセスなどがはっきりと定まっていない業務が未知のタスクです。ゼロベースでの新規事業など手探り状態で業務を進めていく対法のタスクです。また、経験年数が不足しているために勝手が分からない業務も、当人とっては未知のタスクと捉えて良いでしょう。新入社員や新規事業を起こす機会の多いベンチャー企業においては、未知のタスクが占める割合が多くなります。

 

既知のタスクにおけるモチベーション低下の理由

 

仕事をする目的が曖昧になっている

ルーティン化した日々の業務は大きく気を配らなくても処理できてしまうことが多く、大きな目的意識を持つようなことも多くありません。接客業のようにお客さんに接するような業務でない場合「何のために仕事をしているかわからない」と落ち込んでしまうこともあるでしょう。

 

タスクに刺激がない

仕事に達成感がなくなるのも既知タスクのモチベーションを下げる要因の1つです。人は少し手を伸ばさない目標に取り組むことで、やりがいや達成感を感じることができます[1]。既知のタスクは楽ではありますが、刺激がなく退屈です。現状に甘んじていると、「別に自分がやる必要がないのでは」と人生を無駄に過ごしているような気分にさえなりかねません。

 

タスクに伴う嫌悪的な要因がある

簡単にこなせるタスクであるにもかかわらず仕事を進められないときは、タスクそのものではなく周辺の物事に原因がある可能性もあります。たとえば、あまり接したくない上司や同僚を相手にしなければならない、体力・時間的な消費が大きい、あるいは書類の置き場が煩雑で必要な資料が取り出しにくいといった要因などが考えられます。嫌悪的な刺激や労力については極力避けたい、後回しにしたいと考えるのが人の持つ性です[1]。

 

既知のタスクにおけるモチベーション管理のコツ

 

仕事に対する「なぜ」を意識する

モチベーションを高めるためには、なぜこの仕事をしているのかを再確認することが大切です[2]。今行っている業務そのものに楽しさや価値がなくとも、それが将来的には理想とするライフスタイルやワークスタイルの実現に貢献するものであれば、仕事に目的意識を持つことができるでしょう。たとえ現在の職場にまったく希望を見いだせないとしても、実務経験を蓄積することで社会的な評価が高まり、より理想に近い職場に転職できるという考えに切り替えることもできます。

 

自主的に時間的な制約を設ける

意図的に負荷をかけることで、仕事に刺激を持たせる方法も有効です。たとえば、普段は3時間でこなせるタスクを2時間で終わらせることを目標にしてみます。さらに緊張感を持たせるよう、上司やタスクの次のプロセスを担当する人に宣言するとより効果的です。定時後に友人との約束や飛行機の手配など、予定を入れてしまうことで、絶対に時間通りに仕事を終わらせないと行けないというプレッシャーを持たせるのも良い緊張感につながります。

 

タスクに報酬を持たせる

嫌悪的なタスクに対してはクリアすることで得られるご褒美を設定するとモチベーションがわいてきます。面倒な整理整頓を10分行ったらランチはいつもより豪華にする、午前中までに苦手な相手に相談する用事を済ませたら週末は映画を見に行くといった具合です。大切なのは、困難のクリアと甘美な報酬を学習経験として紐付けることにより、嫌悪的な物事に取り組めるよう習慣づけることです。そのルーティンを構築できるよう最初の方は簡単な目標を設定すると良いでしょう。

 

未知のタスクにおけるモチベーション低下の理由

 

タスクの内容(量)が把握できない

未知のタスクは、どのような内容をどれだけの量こなさなければならないかが不明確な状態です。経験のない作業には多くの労力が必要だと予測されるため、業務の内容が不明確であるほど人はそれを忌避しようとします。結果、先延ばしになり短時間で膨大な量をこなさなくてはならなくなります。

 

タスク完了までの期間が予測できない

タスクの量や内容もさることながら、必要な作業時間が予測できないのもモチベーションを下げる要因となります。いつまで走れば良いかわからない持久走の第一歩を踏み出すことは至難の業でしょう。既知のタスクであれば予測できるゴールまでの期間も、未知のタスクだと暗闇の中を手探りで進むことになります。

 

タスクの結果が予測できない

ルーティンワークであれば、その業務や対応を行った結果としてお客さまや上司に満足してもらえる確度が高いかどうかある程度判断できます。上手くいく方法を選択しやすいのです。一方、未知のタスクに取り組む場合はその結果を予測することが難しくなります。人は好ましい結果をもたらす確度が高い行動は積極的に行えますが、リスクが入り込む余地の大きい行動には及び腰になります。結果が予測できないタスクには、なかなかモチベーションを持つことができません。

 

未知のタスクにおけるモチベーション管理のコツ

 

タスク達成によるメリットを確認する

既知のタスクと同様、業務を遂行・達成することのメリットをしっかりと確認することが大切です。スキルアップや社会貢献など改まった目的を持つ必要はありません。褒められる、不安が解消する、余裕ができるといった即物的なメリットの方がやる気につながるのであればそれでも良いのです。自分が素直に魅力だと感じるメリットを想像してモチベーションにつなげます。

 

可能であれば、上手くいかなかったとしても獲得できるメリットにもフォーカスすると良いでしょう。「失敗ではない。上手くいかない方法を発見したのだ」と述べたエジソンのように、どちらに転んでも得をする、というスタンスに立つことができれば精神的なハードルはずいぶん下がります。

 

タスクを具体化する

どんなに膨大なタスクであっても、一度に行える作業は1つしかありません。ですから、まずはタスクを具体化、細分化し、今行うべきことは何かを1つだけ明確にすることが大切です。たとえば、プレゼンの資料を作るなら、

 

・テーマを決める
・テーマに沿った資料を集める
・資料を読み込む
・プレゼン資料の構成を決める
・必要であれば社内外にリサーチをかける
・資料を作成する
・上司や先輩のチェックを受ける
・適宜修正をかける

 

というようにタスクを分解することでまず行うべきことやプロセスを明確にできるでしょう。もちろん、さらに細かくすることも可能です。タスクを細かく分析して「プレゼン資料をつくる」といった漠然としたタスクより見通しがはっきりしてプロセスごとの所要時間も見当をつけやすくなります。ここでは適切にタスクを分解できているかどうかはそれほど重要ではありません。未知のタスクでは難しいケースが多いでしょう。大切なのは、仮説でも良いのでタスクの全体像を具体化・細分化し、手をつけやすくすることなのです。

 

細かい達成目標と報酬を設ける

プロセスがある程度明確になったら、マイルストーンとして細かな達成目標とそれに付随する報酬を用意すると、なおモチベーションを保ちやすくなります。未知のタスクをこなすには時間がかかりますので、タスクの完了や達成感という報酬を得るのにも時間を要します。人は遠くにある報酬にはあまりメリットを感じません[3]。ですから仕事を細切れにして、その達成ごとに褒美を設ける必要があるのです。

 

たとえば、タスクAが終わったらランチに出かける、今日の仕事を切り上げるなど、区切りを持たせ報酬を紐付け、行動のモチベーションを保つようにしましょう。特に長期的なタスクにおいては、このような区切りがないと仕事を終えられない不満感や劣等感が生まれがちです。細かくスケジュールを引くことは仕事の基本ですが、精神面でも実務的にも非常に大切な準備なのです。

 

まとめ:行動に対する報酬管理がモチベーション管理の鍵

既知のタスクと未知のタスク。双方のモチベーション管理で共通しているのは、行動に対して短期的な報酬を紐付けるという点です。人は、行動に対して何らかのメリットが伴うからこそ動機づけられ、その行動を継続します[4]。この原則を念頭に置き、常に行動に対して「旨み」を持たせることが仕事のモチベーションを維持する秘訣となるのです。

 

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参照

[1]杉本尚子著「行動分析学入門」産業図書、1998年
[2] ハイディ・グラント・ハルバーソン著「やってのける」大和書房、2013年
[3] http://www.osaka-u.ac.jp/ja/news/storyz/special_issue/yomitoku/201209_special_issue4
[4]杉本尚子著「行動分析学入門」産業図書、1998年