2019/05/17

タイムマネジメントをすれば24時間が30時間になる

タイムマネジメントを直訳すると「時間管理」となりますが、その簡単な日本語ではビジネスパーソンにとって不可欠なこのスキルの本質をつかむことはできないでしょう。

タイムマネジメントとは、1日の24時間をあたかも30時間存在しているように使いこなすこと、と理解してください。

 

タイムマネジメントが軌道にのると、仕事の効率が上がり業績がアップしているにも関わらず、睡眠時間を多く取れるようになります。よく眠ることでリフレッシュできるので、さらに生産性が向上し「できるビジネスパーソン」に磨きがかかります。

ビジネスに携わる人で、タイムマネジメントを必要としない人はいないはずです。

 

スケジューリングとは明確に異なる

タイムマネジメントの本質は、スケジューリングとの違いを知ることで明確になります[1]。まずは大まかに次のように押さえておきましょう。

 

・スケジューリング:計画や予定を立てること

・タイムマネジメント:効率性や生産性などを考えてスケジューリングすること

 

「スケジューリング」や「スケジュールを組む」といったとき、それは単に計画を立ててメモ帳に記載することを意味します。例えば上司から5日間で5つの仕事を終わらせるよう指示されたら、1日1つの仕事をスケジューリングすればよいわけです。

 

一方、タイムマネジメントとは、効率性や生産性や優先度や重要度などを考慮してスケジューリングしていくことです。

しかしタイムマネジメントは、単なるスケジューリングのバージョンアップ版ではありません。効率性や生産性や優先度や重要度などを考慮してスケジューリングしていくことは、一朝一夕でできることではありません。

タイムマネジメントは、徐々に精度を向上させてようやく獲得できるスキルです。そして得られる成果が大きいスキルでもあります。

 

余裕が生まれるから計画外の仕事をこなせる

タイムマネジメントを実施するには、計画的に仕事を進める必要があります。ところが計画的に行動することを嫌うビジネスパーソンは少なくありません。予定通りに進まないことが多すぎて、「それならいっそのこと計画なんてつくらないほうがよい」と思ってしまうのです。

 

しかしそれは正しい行動とはいえません。

予定外の仕事やいわゆる「無茶ぶり」を多くこなさなければならない人ほど、計画的に仕事を進めたほうがいいのです。

なぜなら、計画的に進めることができる仕事を計画的に進めているからこそ、計画外の仕事が発生したときでも対応できるようになるからです。

 

上司や同僚や後輩から、いわゆる「できるビジネスパーソン」と評価されるには、計画外の仕事をこなせなければなりません。計画的に進めることができる仕事を計画的に進めることは、誰でもできるからです。

 

計画的に仕事をしない人の失敗時の言い訳

そして、いわゆる「できないビジネスパーソン」は急に計画外の仕事を指示されると、計画的に進められるはずだった仕事も計画外の仕事も、両方とも中途半端になっています。

このときこの人は次のように言い訳するでしょう。

「突如計画外の仕事を命じられても、丁寧に仕上げることなんてできるはずがない。そして計画外の仕事によってスケジュールが狂ったので、計画していた仕事もうまくいかなくなった」

しかしこの説明には説得力がありません。計画を立てていないから、計画していた仕事も計画外の仕事も失敗してしまったのです。

 

計画的に進めるとここまでできる

計画的に仕事を進めると、次のようなことができるようになります。

タイトなスケジューリングが強いられたため、午後2時に3時間かかる仕事に取り組み始め、午後5時に成果を報告しなければならない状況にあったとします。

邪魔が入らなければぎりぎり締め切りに間に合う予定でしたが、突如午後2時30分に上司から緊急の用事を言いつけられたとします。このままでは、当初計画していた仕事を午後5時に仕上げることはできません。

 

しかし、ここまでしっかり仕事の計画ができていると、この人は次の行動を取ることができます。

・上司に緊急の用事と当初計画していた仕事のどちらを優先すべきか指示をあおぐことができる

・上司にタイトなスケジューリングになってしまったことを説明できる

・当初の仕事の発注者に、午後5時に仕上がらないことを報告し、締切りを何時間延長できるのか尋ねることができる

 

ここまで対応できれば、計画外の仕事を処理したうえで、当初の仕事を午後5時に仕上げられないことの損失を最小限にすることができるでしょう。

 

この人は計画的に行動しているだけでなく、タイムマネジメントがしっかりできています。

午後2時に3時間かかる仕事に取り組み始め、午後5時に成果を報告するのは、タイトなスケジューリングを強いられているため、仕方がありません。しかしこの人は、計画していた仕事が「3時間で終わる」と見積もりをしているのです。したがって、午後2時きっかりにその仕事を始めることができたのです。

 

仕事の所要時間を正確に見積もるスキルが必要

タイムマネジメントを実施するには、自分が抱えているすべての仕事の所要時間を正確に予想できるようにならなければなりません。仕事を命じられたら、まずは何時間または何日かかるのか見積もる癖をつけましょう。

この所要時間予測が正確でないと、計画やスケジューリングは意味をなしません。余裕を持たせすぎると仕事の受注量が減ってしまいますし、所要時間が足りないと納期遅れを連発することになります。

 

余裕があるからチャレンジできる

所要時間予測が正確になり、計画的に行動できるようになると余裕が生まれます。余裕が発生する日や時間があらかじめわかっていれば、上司がチャレンジングでやりがいがある仕事の担当者をスタッフたちから公募したとき、迷わず手を上げることができます。

 

上司から「君は随分仕事を抱えているようだが、大丈夫なのか」と聞かれても、「来週の火曜の午後から余裕ができるので、新規顧客開拓をしようと考えていました。それを後にずらすことで、時間をつくります」と明確に答えることができます。

タイムマネジメントをすると、よい仕事を手に入れやすくなります。

 

「ダブル業務」が可能になる

タイムマネジメントのスキルを身につけると「ダブル業務」が可能になります。ダブル業務とは、同時刻に2つの仕事を行うことです。

もちろん実際は、ひとりの人は一度にひとつの仕事しかできません。しかし「仕事の指示」と「仕事の依頼」という2つのテクニックを駆使することでダブル業務が可能になるのです。

 

部下がいれば「仕事の指示」を使う

例えば自分が、AとBという仕事を抱えていたとします。そして仕事Aは自分ひとりで行わなければならず、仕事Bは部下に準備をさせることができるとします。

このとき、部下に仕事Bの準備の指示を出しておけば、自分はその間に仕事Aに取り組むことができます。すると仕事Aが終ったころに仕事Bの下準備が終っているので、時間を無駄にすることなく2つの仕事を処理することができます。

これがダブル業務です。

そして職位が高くなればダブル業務にとどまらず、トリプル業務(3つの仕事)やクアドラプル業務(4つの仕事)、クインティプル業務(5つの仕事)も可能です。

できる管理職は、経営者からどれだけ仕事をふられてもスムーズにこなしていきます。

 

部下がいない一般社員は「仕事の依頼」を使う

まだ部下を持っていない一般社員であっても、上司を上手に使うことによってダブル業務を行うことができます。

自分が任された仕事のなかで、上司にしかできない部分があれば、上司にその一部の仕事をしてもらっている間に自分は別の仕事をするのです。

 

例えば取引先が「次回の打ち合わせはあなたの上司とサシでお話させていただきたい。申し訳ないが君はそのとき帯同しないでいただきたい」と言われたとします。若い営業パーソンの場合、契約の最終的な詰めは上司に依頼するしかない場合があります。

この内容を上司にそのまま伝えれば、取引先と自分の上司が会談している間、自分は別の仕事をすることができます。

 

時間確保を確実にするためには、取引先と上司の面談時間を厳格に設定する必要があります。例えば午後3時に面談することになったら、上司には「取引先はきっかり午後3時からの1時間を指定してきています」と伝えます。これで上司は「取引先はその前後に重要な用事を抱えているのだろう」と考えます。

 

そして取引先にも「大変申し訳ないのですが、上司が御社に到着するのはきっかり午後3時からの1時間となってしまいますが大丈夫でしょうか。もし、もう少し早いほうがよければそのように調整します。時間の延長も不可能ではありませんが、いかがでしょうか」と伝えます。ここまで念押ししておけば、取引先もスケジュール通り動いてくれるでしょう。

自分の案件を上司に任せ、自分は別の仕事をするので、仕事がどんどん片付いていきます。このようにタイムマネジメントを進めていけば、同じ能力の人より多くの仕事をこなしていくことができます。

 

時間を買う習慣を身につける

タイムマネジメントでは時間をお金で買う習慣も大切です[2]。

タクシーを贅沢に使ったり、空港の有料ラウンジを利用すれば、メールを送ったり報告書を書き上げたりすることができます。もしくは、タクシーに乗っている時間やラウンジに居る時間をリラックスタイムに充てれば、それ以外の時間に休憩を取る必要がなくなります。

タクシーも有料ラウンジもお金がかかりますが、いずれもそのお金で時間を買っていることになるので出費は無駄になりません。

 

また、もし自分の上司が酒の席で重要なことを話すタイプの人であれば、飲みの誘いを受けることも有効です。プライベートの時間まで上司の顔をみたくないと思わず、自分の時間を上司に「投資する」と考えてみてはいかがでしょうか。

酒の席で重要情報を聞くことができれば、翌日の朝一から行動することができます。飲み会に参加しない同僚は、翌日の朝、上司から公式発表を受けてから行動することになるので差をつけることができます。

これは時間を支払って時間を買う方法です。取引先とのゴルフもこれに該当します。

 

また、最近は取引先とメールやチャットのやり取りで仕事を済ませることができるようになりましたが、実は頻繁に実際に会っておいたほうが緊急時の対応がスムーズに進みます。コミュニケーションが充実していたほうが、仕事が円滑に進むからです[3]。

平時より緊急時のほうが断然時間が貴重になります。日常の空いた時間を使って取引先に会うことが、緊急時の時短につながるので、これも時間を支払って時間を買っていることになります。

 

高額所得者のほうがよく眠っているという事実

タイムマネジメントをすると無駄な時間が減るので、それで浮いた時間を睡眠に回すことができます。仕事のストレスを減らすには、十分な睡眠が必要です[4]。

 

経営者の平均睡眠時間は6.1時間で社員は5.8時間という調査結果があります[5]。

社員より忙しいはずの経営者のほうが長く眠っているのは睡眠の重要性を理解しているからです。そして、睡眠時間を確保するために、タイムマネジメントをしているからです。

 

このような話を聞くと「社長は自分のスケジュールに合わせて部下を動かせるからタイムマネジメントができる」と考える人がいるかもしれませんが、そのようにネガティブにとらえないほうがよいでしょう。

もちろん一般社員が、先輩社員や上司にスケジュール調整を依頼することはできません。しかし、先輩社員や上司のスケジュールを押さえておくことはできるはずです。

上司たちのスケジュールに合わせて自分のスケジュールを組み立てていけば、時間を無駄にしないで済みます。上司に「課長のスケジュールに合わせて仕事を組みます」と言って、自分のスケジュールを明かさない上司はいないでしょう。

タイムマネジメントでは、自分の時間だけでなく他人の時間も管理することが求められます。

 

午前中、特に朝が勝負

有能なビジネスパーソンは、タイムマネジメントをするときに午前中を重視します。そして特に早い朝に重要案件を入れます。

ただ「朝のほうが頭がよく回転する」とはよく言われていることですが、生理学的医学的に証明されているわけではありません。

ではなぜ朝を重視したタイムマネジメントをおすすめするかというと、仕事ができる人ほど、そして年収が高い人ほど朝を重視している事実があるからです[5]。

タイムマネジメント初心者は、ベテランの真似をしましょう。

 

朝に重要な仕事を予定することは理にかなっています。

午前中に重要な仕事を予定しておけば、緊急案件が入ってしまったら、その重要な仕事を午後に回すことができます。

しかし午後に重要な仕事を予定して緊急案件が入ってしまったら、重要な仕事は翌日に回すことになってしまうかもしれません。

重要な仕事は、仮に完了が遅れたとしても、せめてその日のうちに終わらせたいものです。

 

やることメモは「やらないことメモ」でもある

タイムマネジメントで欠かせないツールのひとつに「やることメモ」があります。自分の仕事をすべて挙げてメモ書きしたものが、やることメモです。

やることメモさえ完璧につくることができれば、あとは優先順位をつけるだけでタイムマネジメントの下準備になります。

 

しかし、やることメモを完璧につくることは簡単ではありません。タイムマネジメント初心者は、小さくて簡単な仕事をやることメモに挙げ忘れることがあります。もしくは、小さくて簡単な仕事は「わざわざやることメモに書く必要がない」と考えがちです。

しかし小さくて簡単な仕事こそが、タイムマネジメントを狂わせる元凶となるのです。やることメモは「やることメモに書いていないことはやらない」という気持ちを持って真剣に作成しましょう。

 

まとめ~タイムマネジメントは「無駄潰し」から

タイムマネジメントの取り組みを始めると、自分が驚くほど無駄な動きをしていることに気がつきます。例えばタイムマネジメントの計画づくりとやることメモづくりを実行すれば、外回りの道順や訪問先の訪問順をしっかり練り上げるようになります。

無駄が減れば、それも睡眠時間に回すことができます。もしくは、無駄が減ったことで生まれた時間を、別の時間を買うために使うこともできます。

「すべての人に平等に与えられているのは時間である」とは、使い古されたフレーズですが、タイムマネジメントに目覚めるとこの言葉の意味の重要性を実感できます。

 

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[1]管理者教育:タイムマネジメントhttps://www.bizup.jp/solution/kaizen_navi_pdfdata/kanrisya_kyouiku_04.pdf
[2]お金を出して時間を買うか、お金をもらって時間を売るか
https://zuuonline.com/archives/184399
[3]段取りとコミュニケーション
https://www.hitachi-solutions.co.jp/column/tashinami2/arrangements/index07.html
[4]睡眠とメンタルヘルス
http://shaho-net.co.jp/kokoromokaradamo/03/index.html
[5]どこが違う?「経営者500人×平社員500人」の24時間比較
https://president.jp/articles/-/20896