2019/05/28

人はどんなときに学びを止めてしまうのか。

複数の会社で、同じような相談を受けるときがしばしばある。

その一つが、

「学習(勉強)しない社員がいるのですが、どうすればいいでしょうか。」

という相談だ。

 

聞くと、状況もある程度似ている。

 

・問題となっている社員は、評価が高いほうの社員ではない。
・20代後半〜50代まで、年齢層に関係なく存在する。
・(学習が必要そうな)経験のない仕事を振られることを嫌がる
・研修を与えても効果が低い

 

という説明とともに相談されることが多い。

 

こういった相談に対して

「カリキュラムを見直しましょう」

「教育計画を立てましょう」

「メンタリングが必要ですね」

などの指導をする研修会社やコンサルタントがいる。

 

もちろん、それはそれでよいのだが、最近私はそういった「なんとか学習をやるように仕向けよう」というアプローチは、対処療法に過ぎず、もっと、根本的な部分にアプローチが必要なのではないか、と思うようになった。

 

今は「勤勉」だけではダメで、「学習する人」が得をする時代

ともあれ、まず断っておくと

「学習」=「知識/スキルをアップデートしていくこと」

がすべての人に絶対に必要かと言えば、個人的にはそうは思わない。

 

むしろ現実的には「働きだしたら学習しない」が大多数だろう。

終身雇用で守られていたサラリーマンは「勉強しない人」の代名詞でもある。

 

どこかの会社に潜り込めば、スキルのアップデートなどをしなくても自動的に給料が上がっていき、それなりの待遇が保証されていた時代だったのだ。

 

昔は「勤勉」で、会社に従順でありさえすればよかった。

もちろん今でも、「勤勉さ」だけが必要な単純労働だけをしている場合などは、

スキルのアップデートはあまり必要ない。

 

ただ、残念なことに、ここ20年で「それなりに高い給与が貰える仕事」は残らず、恒常的な知識のアップデートが必要となった。

 

例えばコンサルタント、高度なエンジニアリング、マーケティング、先端医療、生産管理、新規事業立ち上げなど、知識をベースとした仕事をしている場合、学習は必須だ。

 

そのような職場では、学習をしない人に仕事は回ってこないし、待遇は良くならない。

 

また、多くの会社は相対評価だから、周りが学習を熱心にやると、何もしないだけで、時間とともに社内での地位が下る。

 

極端な話、「学習しない人物はリストラ対象」となる可能性も高い。

 

ただ、今でも世の中は、完全な単純労働でもないけれどもものすごく高収入でもない、いわゆる「普通の仕事」が大半を締めている。

そういう仕事では、「学習」が高収入を保証しないし、必ずしも仕事に学習が必須でもない。

 

結局のところ「勉強する/しない」は個人が置かれた状況によって、自ら決めなければならないし、だれに強制されるようなものでもない。

 

それなりのお金がもらえる職に付きたい人は学習しなければならないし、「別にカネなんて」という人は学習なんかしなくても生きていける。

 

「学習しない人々」をなんとかしてあげたい、という優しい人たち

だが「普通の職場」であっても、

 

「そうはいっても、なんとかならないか」という、優しい教育担当者がいる。

「自己責任なのはわかってはいるけど」という優しい上司がいる。

「見捨てることはできない」という優しい経営者もいる。

 

彼らはなんとかして「学習しない人々」につける薬を探し出そうとしている。

 

正直なところ、私にはおせっかいなのか、優しいのか未だにわからない。

が、そういう会社は教育にお金を出すので、前職では結構引き受けていた。

 

現場に詳しくヒアリングをすると、「学習しない人たち」の類型ははっきり2つに分かれる。

 

「何を学習すべきかわからない」「時間がない」= 学びたいけど、自分の力ではできない

 

と、

 

「学習しても、待遇が変わらないので、必要性を感じない」= 学ぶこと自体が嫌(苦手)

 

という人たちだ。

 

前者の解決はそれほど難しくない。

 

カリキュラム、時間さえ与えれば勉強します、と言っているのだから、会社が責任を持って、その両方を与えることに注力すればよいのだ。

 

問題は、後者だ。

なぜなら「学習を欲していない人に、学習をさせることは不可能」だからだ。

 

実は誰もが「学習」をしていた時代があった。

私は実態を調査するため、社内で「学習しない」と言われていた人たちに、

「社会人になってから、一度も学習に励んだことはないのですか?」と聞いた。

 

すると彼らのほとんどは

「そんなことはない。新人のときは頑張った」という。

 

そう、面白いことに、彼らの多くは「学習」がもとから嫌いだったわけではない

 

過去には学習する意欲のあった人も多いのだ。

ということは、どこかで彼は学びをやめたのである。

 

それを突き詰めれば、「学習しない原因」を突き止められるのではないか、

私はそう考えた。

 

では一体、人はどこで学びを止めるのか。

 

私は、彼らに「なぜ、途中から学習をしなくなったのですか」と聞いた。

すると、多くの人の反応は極めて似通っていた。

 

「学習が不要とはおもってない。ただ、今はやる気がわかなくなった。」

 

「なぜですか?」

 

「……上は「勉強しろ」っていうけど、本音はそれを求めてないんじゃないかとも思う。」

 

「なぜですか?」

 

「勉強をしたところで、給料が上がるわけではないから。」

 

「ほう」

 

「もっと言えば、そもそも、学習をしなくても、仕事は回るし、それほど困らない。」

 

「ふーむ。」

 

なるほど、言っていることはわからなくもない。

しかし、これでは学習の意欲を高めるのは難しそうだ……と思っていたところ、

わずかながら、「最近やる気なくしていたのだが、突如としてものすごく勉強するようになった」という人がいた。

 

「なぜ勉強するようになったのですか?」

 

と聞くと、彼はこっそりと、

 

「転職が決まったんです」

 

と教えてくれた。

 

そこで私はようやく気づいた。

そういうことか、と。

 

「学習しない」ことを、一方的に社員のせいにしてはいけないのだ。

 

要するに、「仕事ですぐに生かせない」ということ、加えて「給与が連動しない」ので、学ぶ意欲が起きないのだ。

 

逆に、だれもが学習熱心だった新人のときは

 

「学習」= 「仕事がこなせて、給料がもらえるようになる」

だったため、熱心に学習に取り組めたのだ。

 

そこで何社かの教育担当者や経営者に

「学んだことをすぐに活かせるようにすること」

「学んだことを活かせた人には、給与アップしてあげること」

をしてみてはいかがでしょう、と具申した。

 

この反応はきれいに2通りだった。

 

「なるほど」と、すぐに納得して、「新しい試みが試せる仕事」と「新しいキャリア」を用意した会社

 

そして

 

渋い顔ををして「それはできない」という回答をした会社。

「なぜですか?」

と聞くと、

 

「仕事をすぐに変えるわけに行かないし、学習するのは当たり前のことだから、会社があえてそれにカネを払うようなことじゃない。」

 

という。

 

もちろん「社員」がよく学習できるようにアップデートされた組織は前者、旧態依然として、社員の学習意欲を削ぐ組織が後者だ。

 

さて、今後生き残れるのはどちらの組織だろう。

まあ、言うまでもないことだろうが。

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