2019/12/20

「5W1Hシート」で作るシンプルなコミュニケーション、一石三鳥の「UX思考」とは

近年、若者の「日本語力」が低下していると言われます。

実際のビジネスシーンでも、「話にまとまりがない」「よくわからない」といったように部下を評価している方も多いのではないでしょうか。

このような時、上司、部下の双方が嫌な思いを抱えているものの、どちらが正しい、誤っているという議論をしていても、話は前に進みません。

そこで、仕事に必要なやり取りを「ビジュアル化」してみるのはいかがでしょう。

 

「読解力」「語彙力」の低下

 

OECDは、3年に1度、国際的な学力調査(PISA)の結果を公表しています。

対象は15歳の子供ですが、ここでも言葉の「読解力」が低下している傾向が明らかになってきました。

PISAの対象は、「数学的リテラシー」「科学的リテラシー」「読解力」という3分野の学習到達度です。

2018年の調査では、79の国と地域の中での日本の順位は以下の通りです[1]。

・数学的リテラシー  6位
・科学的リテラシー  5位
・読解力        15位

「読解力」が相対的に低い順位にあり、2015年の8位から大きく順位を下げたことは「PISAショック」とも呼ばれました。

実際、文部科学省も読解力について「有意に低下」と評価しています。
なお、PISAで問われる「読解力」とは、下の3つのポイントを指します。

①情報を探し出す
  -テキスト内の情報にアクセスし、取り出す
  -関連するテキストを検索し、選び出す
②理解する
  -字句の意味を理解する
  -統合し、推論を創出する
③評価し、熟考する
  -質と信憑性を評価する
  -内容と形式について塾考する
  -矛盾を見つけて対処する

日本では「②理解する」能力は、平均得点が安定的に高いものの、「①情報を探し出す」「③評価し、熟考する」能力については、平均得点が低下しています。

③の「質と信憑性を評価する」「矛盾を見つけて対処する」は2018年から追加された項目ですが、この2を問う問題の正答率が低くなっています。

また、注目すべき分析結果があります。それは、

「自由記述形式の問題で、自分の考えを根拠を示して説明することに引き続き課題がある。誤答には、自分の考えを他者に伝わるように記述できず、問題文からの語句の引用のみで説明が不十分な解答となるなどの傾向が見られる」

というものです。

どこかで聞いたことのある話ではないでしょうか。
まさに、職場でのコミュニケーションで起きていることです。
「要点をまとめて報告できない」
「筋道を立てて考え、自分の言葉で話すことができない」
多くの上司が抱える悩みと一致しているのです。

また、「語彙力の低下」もコミュニケーション力が低下する原因の一つでしょう。
朝日新聞とベネッセが共同で行なった「現代人の語彙力に関する調査」では、調査結果として一つの傾向を指摘しています[2]。

「社会人は今までに身につけてきた語彙を使う一方、若者は『新語』を次々と作り出す」

というものです。

これは言い換えれば、それまでに学んだ言葉を自分の中で適切に引き出し、並べることができないため、自分の都合で「それっぽい言葉」を作ってしまう、ということです。

「新語」は、すぐさま流行になるため、使い方は覚えやすいでしょう。
また、「新語」の特徴として、「なんとなくの雰囲気を指すだけ」「使える場面がとても多い」ことが挙げられます。
使っている本人も「これで正しいの?」と周囲に確認する始末です。

物事を表現するのに、ピンポイントな言葉ではなく「それっぽい響きの単語」程度にしか意味を持たず、かつ自分の中でも理解できているかどうかがあやふやな単語で、頭の中の語彙がどんどん上書きされていくのです。

これではますます「話が通じない」となります。
もはや「外国語の人と会話をしているようだ」とまで感じる上司がいても、何ら不思議ではないでしょう。

 

英語という合理的な言語

 

ところで、ここで、日本語と英語の違いについて考えてみたいと思います。

英語というのは、日本語よりはるかに合理的な言語です。
何より、「結論から話す」のが日本語と大きく違うところで、「結論→理由→背景」という語順で構成される文章がほとんどです。
時系列がはっきりしているのも特徴でしょう。

それに比べて、日本語は冗長です。
どこにどの言葉を持ってきても、文章として成立してしまいます。
そのため、1分以上喋った後に結論にたどり着く、という人も出てきます。

これが「文学」であれば読み返して味わい深さを感じたり、作家の味として楽しんだりする対象になりますが、ビジネスシーンでは、そんな話し方は通用しません。

英語では必ず「文法」を教えられます。
そして、基本段階で教えられるのが「5W1H」、つまり、

Who(誰が)
What(何を)
When(いつ)
Where(どこで)
Why(なぜ)
How(どのように)

の疑問詞を使った文章の組み立てです。

ビジネスで必要なのは、冗長な描写や文学レベルの語彙ではなく、この「5W1H」に尽きるのです。
そこで最近、Webデザインの世界で出てきたのが「UX思考」というものです。

 

「UX思考」とは

 

「UX」とは、「UX(ユーザーエクスペリエンス)」の略で、「UI(=ユーザーインターフェース)」に対して生まれた言葉です。

Webの設計で言えば、UIとUXの違いは、UIは「商品と顧客の接点」という、外観の部分を指します。
しかしUXとは、「人が商品やサービスを通じて得る体験(=xperience)」を指します。

UIが示す所の「見やすい外観」といったものとは違い、サイトにアクセスし、操作し、商品やサービスを購入する過程で「どのような経験をするか」を分析し、デザインの起点にしよう、という考え方です。

例えば、仕事中に、忙しいのでネットで出前を注文する人がいるとします。
UIは、そのサイトの見た目や、商品の探しやすさ、ボタンの見つけやすさ、といった部分を指します。

一方UXを重視したデザインに必要なのは、顧客の「5W1H」を考えた設計です。
具体的には、

Who 食事をとりたい人が
What 弁当を
When 今すぐ
Where オフィスで
Why 忙しくて外食できないから
How スマホで注文する

→短時間ですぐに好きなものを注文できて、オフィスまで運んでくれて助かった、嬉しい

という具合に、その人の行動や求めているものを「5W1H」に分解し、それぞれを満たすように設計していこう、というのがUXの考え方です。

ただ単に出前注文ができるサイト、ではないのです。

これは、元はデザインの世界の話ですが、コミュニケーションにも当てはまります。
基本的に人の行動は「5W1H」で説明がつく、ということです。

これを仕事上のコミュニケーションに転用する場合、冗長な日本語で指示を出すより、「5W1H」を記した表をチェックシートにでもして、指示のベースとして渡すことから始めるのです。
A4一枚で済みます。

若者が苦手としているのは、「テキストの中から必要な情報を絞り出すこと」です。
何かを指示するにあたって必要な情報とは、結局5W1Hに集約されます。それよりも少ない場合もあるでしょう。
であれば、話のポイントを絞って、最初に伝えてしまうのです。

そして、チェックシートが有効な理由はもう一つあります。
マニュアルのようなものとして機能するのです。
受け取った若者は、仕事をしながら、困った時に「このポイントはクリアできたかな」と1つずつ確認できるのです。
そして「何が大切なのか」「優先順位」を把握することもできます。
非常にシンプルで、かつ、本人たちも頭を使う材料になるでしょう。

 

UX思考のその他の効能

 

また、UX思考は、社内で他のことにも役立ちます。
まず、UXの本来の使い方です。
商品開発のベースとして使うのです。

ターゲットの絞り込みや、顧客満足のために何が必要か、この「5W1Hマトリックスシート」が役に立ちます。
言葉だけでやり取りするよりも、意識やイメージを共有しやすいでしょう。

実際にこれに、「How many?(どのくらい)」「How Much?(いくらで)」を付け加えて「5W3H」としたり、問題解決の際には「Why Not?(なぜそうしないのか)」「What if(もしそうだとしたら)」を付け加えて考えたりする場合もあります。

また、こうした5W1Hのどれかのパートについて、ということなら、部分的なものではありますが、若者でもアイデアは浮かび、伝えやすいでしょう。
短い言葉で済むからです。

「質問力」が思考回路を鍛える、という話をよく耳にします。
実際に、この「5W1H」を意識している人は、物事の説明が上手です。
「報告の仕方」「問題発見力」にも繋がるUX思考を、コミュニケーションのなかに取り入れみてはいかがでしょうか。

 

 

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[1]OECD 生徒の学習到達度調査2018年調査(PISA2018)のポイント(文部科学省)
http://www.nier.go.jp/kokusai/pisa/pdf/2018/01_point.pdf
[2]「第1回現代人の語彙に関する調査 結果速報」(ベネッセコーポレーション、2016年)
http://www.goi-dokkai.jp/research/pdf/research160915_02.pdf