2019/04/16

リーダーシップ向上のためのPM理論とSL理論

「リーダーシップ」による組織への影響は計り知れないものがあるため、多大な研究や議論がなされ、数多くの理論が存在しています。

また、リーダーシップは必ずしも一つの方法が最適とはされておらず、客観的な認識により状況に応じた方法を選択することが重要と言われています。今回はリーダー自身の行動や部下の状況によって分類されるリーダーシップ理論として「PM理論」「SL理論」について紹介します。

2つの能力で分けられる「PM理論」

 

リーダーシップの行動特性を把握するのに役立つPM理論

PM理論を提唱した三隅二不二氏は、2つの行動特性を満たすことでリーダーシップを発揮することができると考えています。

 

その2つの行動特性が、「目標達成行動:P行動(performance)」と「集団維持行動:M行動(maintenance)」です。

「P行動」とは目標達成のための行動です。例えば、「売上目標を達成するために戦略を練る」「目標達成のための計画を立てる」「立てた計画を遂行するために、メンバーに指示を出す」などが該当します。

 

「M行動」とは集団を維持するための行動です。「メンバー間の緊張を和らげる」「チームメンバーとの飲み会を開催し、親睦を深める」「部下の悩みを聞き、アドバイスする」など、チーム内のメンバーに対してフォローや気遣いの行動が該当します。

 

先にも述べた通り、「P行動」の強弱(P,p)と「M行動」の強弱(M,m)の組み合わせで「4つのリーダーシップスタイル(PM型、P型、M型、pm型)」を導くことができます。そして、PとMが両方とも高い状態が理想のリーダーです。

 

もちろん、誰もがPとMの両方とも備え、リーダーシップを発揮できれば理想ですが、人には得手不得手があるものです。そして、自分の得手不得手をPM理論で確認することで、組織においてリーダーシップを発揮するために何が必要かを知ることができます。

 

例えば、「自分はPの行動特性が強いが、Mの行動特性が弱い」とPM理論で理解したのであれば、「Mの行動特性を高めるために、もう少しメンバーをフォローしていこう」と自分の行動を振り返りながら、足りない行動特性を高めていくために何が必要かを考えていくことができます。

 

とはいえ、すぐに足りない部分を高めることはできないので、「足りない行動特性を別の人に補ってもらう」ということも有効な方法です。先の例であげた「自分はPの行動特性が強いが、Mの行動特性が弱い」という人であれば、「Mの行動特性が強い人」をサブリーダーで配置することで、Mの行動特性を補ってもらうことができます。

 

部下のタイプで分けられる「SL理論」

 

部下のタイプを把握するのに役立つ「SL理論」

P・ハーシー氏とK・H・ブランチャード氏が提唱した「SL理論」は、部下のタイプに応じたコミュニケーションに役立ちます。なお、SLは”Situational Leadership”の略で、日本語では「状況対応型リーダーシップ」と呼ばれることがあります。

 

「SL理論」は、部下への接し方について、「援助的行動」を縦軸、「指示的行動」を横軸の2軸で捉えます。縦軸の「援助的行動」は、「傾聴する」「褒める」などのコミュニケーションや承認が該当します。横軸の「指示的行動」は、仕事の手順などの具体的な仕事の指示が該当します。また、仕事に対する理解など、「部下の発達度」も横軸で捉えます[1] 。そして、縦軸、横軸を組み合わせて、「S1:教示的リーダーシップ」「S2:説得的リーダーシップ」「S3:参加的リーダーシップ」「S4:委任的リーダーシップ」の4つで部下とのコミュニケーションを捉えます。

 

例えば、入社間もない新入社員の場合は仕事の進め方などが分からなないため、「S1:教示的リーダーシップ」で仕事をどのように進めたらよいかを示すことが適切です。一方、業務遂行能力が高く、自発的に行動することができるマネジメント層などのベテラン社員の場合は、「S4:委任的リーダーシップ」で仕事の状況をモニタリングし、不安や迷いが生じたときに手を差し伸べるスタイルがよいでしょう。

 

このように、部下の仕事の経験や遂行能力によりコミュニケーションの取り方を捉えることができるという理論です。新入社員、2~3年目の社員、中堅社員、ベテラン社員など、業務や仕事に対する理解度によってコミュニケーションの取り方が変わります。その意味では、現代の日本の会社内ではよく見られたコミュニケーションスタイルであり、イメージがしやすいものではないでしょうか?

 

活用の仕方としては、部下の名前と働きかけの方向性を一覧にし、コミュニケーションを行ってみるのが良いでしょう[2]

 

PM理論とSL理論をリーダーシップの向上に役立てる

「PM理論」「SL理論」はともに、リーダーシップ理論として有名です。そして、両方の理論とも、「能力」や「資質」にフォーカスしているのではなく、「行動」にフォーカスしているのが特徴です。

 

つまり、自分の行動を振り返り、「PM理論」や「SL理論」と照らし合わせ、行動を修正することで、リーダーシップ力の向上につなげることができます。

 

PM理論とSL理論で理想のリーダーを目指す

前述のように、リーダーとしての自分のタイプを「PM理論」を用いて把握し、組織という集団を維持しながら目標達成のためにパフォーマンスを発揮するためにはどんな行動を起こしたらよいかを理解できます。加えて、「PM理論」では、現在の自分のリーダーシップの行動と理想のリーダーシップ像との乖離をどのように埋める行動を行うかを考えることができます。

 

また、「SL理論」では、部下の勤続年数や経験値、業務への理解度を把握し、S1~S4の4段階をモデルにしながら、どのようにコミュニケーションを取るべきか、行動するべきかを理解できます。加えて、「SL理論」では、S1~S4のコミュニケーションスタイルと現在の部下とのコミュニケーションスタイルとの乖離をどのような行動で埋めていくかを考えることができます。

 

「PM理論」と「SL理論」を上手く活用することで、リーダーとしての理想の行動やメンバーとのコミュニケーションスタイルを明確にすることができます。これらの2つの理論を上手く組み合わせ、自分の理想のリーダーシップ像を磨きながら、部下と適切にコミュニケーションを取ることで、理想のリーダー像に近づけていきましょう。

 

まとめ

今回は「PM理論」と「SL理論」について紹介しました。

 

「PM理論」「SL理論」とも、リーダーシップ論では有名な理論です。そして、両方とも「能力」や「資質」に注目しているのではなく、「行動」に注目した理論です。そのため、理想のリーダーに近づけることができるよう、「行動」を見直すことが大切です。

 

そして、自分が理想とするリーダー像とその乖離を「PM理論」で把握し、部下との適切なコミュニケーションのあり方を「SL理論」で把握し、行動することで、理想のリーダー像に近づくことができます。

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参照

[1] SL理論に基づいて、部下の能力から将来のリーダーを育成しよう!(mitsukari)
https://mitsucari.com/blog/sl_theory/
[2] スタッフの成熟度に合わせたリーダーシップの図り方を考えるフレームワークSL理論【組織開発】(hirameki)
https://www.kikakulabo.com/topic-sl/
[3] 小野善生著『リーダーシップ理論集中講義』(日本実業出版社刊)