2020/03/30

創造的なチームを作る「はみ出しもの」の力

IT化が進み、これからは創造的な仕事が増え、機械にできることはコンピュータに任せる世界がくる、と予言する人も少なくありません。企業においても、クリエティビティー(創造性)が重要視されるようになってきました。

しかし個人ならともかく、企業にとって「創造的なチームを作る」というのは、並大抵のことではありません。四苦八苦している企業も多いのではないでしょうか。

 

学歴がクリエイティブなチーム作りに邪魔になるとき

 

さて、多くの企業では人材を新たに雇うとき、「学歴」を見て採用しています。日本は学歴社会と言われますが、実は世界中どこでも、学歴エリートを優先する傾向はあまり変わりません。

しかし、実は創造的な仕事が増えてくると、この「学歴」が邪魔になるかもしれない、という説があります。アメリカでベストセラーとなった、「残酷すぎる成功法則」です。

この本には、面白い例が紹介されています。ボストン・カレッジの研究者が、1980〜90年代にイリノイ州の高校を首席で卒業した81人を追跡調査したのです。
ところが、彼らの中に世界を変革したり、動かしたりした人は、「ゼロ」だったそうです。[1]

「優等生たちは、先見の明をもってシステムを変革するというよりも、むしろシステム内に収まるタイプだ」[2]と。

よく考えてみたら、当然です。
学校とは、言われたことをきちんとする能力に報いる場所だから、です。
テストで「勉強しなさい」と言われた範囲をきちんと準備し、提出物を期限までに提出し、列に並んで、先生のいうことをいうーーそれが優等生です。

学校教育の秀才たちというのは、ある意味、真面目な努力家が多いのかもしれません。要するに、彼らは学校の試験や課題で「ふるいにかけられて」来ています。
これができないと、試験を受けて合格したり、卒業したりできないからです。

ところが、この学校教育の秀才たちには、出来ないことがあるのです。それが「型破りな思考をする」ということです。

「ふるいにかけられた」リーダーはことを荒立てずに済まそうとする傾向があります。一方で、「ふるいにかけられていない」リーダーは逆で、ことを荒立てずにはいられないのです。[3]
だから、型破りな思考をする人は、学校教育でトップまで行けなかった可能性が高いし、正規のルートを通ってないかもしれません。スティーブ・ジョブズもマーク・ザッカーバーグも、実は大学を中退しています。

 

クリエイティブ集団を救うのは「はみ出しもの」だった

 

実はリーダーには二種類います。

組織が行き詰まったとき、クリエイティブさが不足しているとき、実はあるタイプのリーダーを加えることで、組織が生き返ることがあります。

それが、正規のコースを経ずに来た「ふるいにかけられていない」リーダーです。

ハーバード大学ビジネススクールのムクンダという人がいます。彼は、リーダーが根本的に異なる二つのタイプに分かれることを分析しました。そして、実際にアメリカの大統領を二種類に分類したそうです。

第一のタイプは、チェンバレンのように政治家になる正規のコースで昇進を重ねてきた「ふるいにかけられてきた」タイプの人。もう一つのタイプが、正規のコースを経ずに指導者になった「ふるいにかけられていない」タイプのリーダーです。リンカーンのような大統領がこれに当たります。

どちらが良いとかどちらが悪いとかいうことではなく、彼は、変化や変革をもたらすリーダーは「ふるいにかけられていない」タイプの人が多いことを見つけ出したのです。

 

組織のメンバーにも複数種類の人がいる

 

リーダーだけではなく、組織のメンバーにもまた、同じことが言えるかもしれません。

本書には、アニメーション映画で知られるピクサーが、スランプになったときの話も紹介されています。

当時トップにあったのは、アップルにもいたスティーブ・ジョブズ。ジョブズは、アップルとピクサーのCEOを兼任していた時期があります。

彼をはじめとする経営陣は、「トイストーリー」「バグズライフ」「トイストーリー2」などのヒットを飛ばした後、「ピクサーは鋭さを失ったのか」と悩んでいたのだそうです。そして、最終的な結論として、「アイアン・ジャイアント」の監督だったブラッド・バードを監督として迎え入れたのです。

ブラッド・バードの戦略はこうでした。
「私たちは”はみ出し者”を求める」と。そして、それまでアイデアを採用されてこなかったような人や今の職場を出ようとしている人など、フラストレーションを抱えてるような人たちを集めたのです。

実際にブラッド・バードは「折り紙付きの変人たち」であるはみ出し者を集めました。そして、こうしてできたのが大ヒットした映画「Mr.インクレディブル」でした。
この「はみ出しもの」たちはアニメ映画の製作法を一新したばかりか、組織の働き方も変えてしまったそうです。

 

「ソニーの遺伝子のない人が必要だった」

 

近年日本にも、同様にあえて異分子を入れる動きが起きています。

ソニーは2017年、ソニーの遺伝子を持たない、情報処理推進機構認定の天才プログラマー、清水亮氏を迎え入れて合弁会社を立ち上げました。

 

しかし、大ヒットゲーム機「プレイステーション」に取って代わるレベルの開発を行うには、ソニーの文化を超越するカンフル剤が必要なことに気付く。
 そんなときに目に留まったのが清水氏だった。「理想を実現するためなら、世の中の批判を承知で商品を具現化する。こんなリスクの取り方ができる人はソニーにはいない」(齋藤氏)とほれ込んだ。

[4]出典 ソニーが天才プログラマーを獲得した「最強採用法」とはhttps://diamond.jp/articles/-/194246?page=2

 

リスクが取れること。人と違ったことが平気でできること。これは、もしかすると、クリエイティブな現場の多くに必要な資質かもしれません。

私は長いこと雑誌編集の現場にいましたが、昔から、世の中の時代の先を読むような面白い記事を書く筆者やあっという写真を撮る人には、「変人」と呼ばれるような人がたくさんいることに気付きました。

いろんな人がいました。原稿を既定の数倍書いてくる人、パソコンの改造ばかりしている人、カメラを100台以上コレクションしている人、約束の時間に必ず遅れてくる人、買い物をしすぎて破産しそうな人、昼夜が完全に逆転している人ーーー。そこに、学校での秀才のような人は、どちらかというと少ないのです。

写真家もそうです。例えば、米国の写真家であるダイアン・アーバス。彼女の写真は不安定で、ギリギリの精神状態を保っているように見えます。しかしだからこそ、人の心を揺さぶります。

しかし、彼らがいることで、雑誌は面白くなり、活気づくのです。

クリエイティブと言われる業界には、昔からちょっと変わった人、普通の日常を送りにくい人が多かったことも知られています。

同じような「秀才ばかり」ではなく、ときに型破りな発想をするリーダーやメンバーを組み合わせるーーこれが今後の「創造的になる」社会には求められているのかもしれません。

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参照
[1]出典 「残酷すぎる成功法則」エリック・パーカー 橘玲監訳 竹中てる実(翻訳)
[2]出典 「残酷すぎる成功法則」エリック・パーカー
[3]出典 「残酷すぎる成功法則」エリック・パーカー
[4]出典 ソニーが天才プログラマーを獲得した「最強採用法」とは
https://diamond.jp/articles/-/194246?page=2