2018/10/09

人口減少・人工知能時代に必要とされる「リーダーのスキル」とは?

少子高齢化社会が進む中、「人生100年時代」という言葉がキーワードになりつつある現代日本。こうした状況下で問題になるのは労働力減少と、それと並行して急速に発達している人工知能の台頭です。

ここでは2018年現在で人工知能がどれだけの発達を遂げているのかを紹介し、人工知能が日本の労働にもたらす影響を考えます。また、人口減少・人工知能時代のリーダーに求められるスキルとは何かを解説します。

 

AIは「レンブラントの新作」を描くこともできる

 

人工知能の圧倒的な「論理的思考力」

人工知能の論理的思考力は人間の論理的思考力を超えるものです。

将棋の永世七冠・羽生善治さんが著した『人工知能の核心』(NHK出版新書)は羽生さんがNHKスペシャル取材班とともに世界中を飛び回り、人工知能の最前線に触れた際の思考をまとめた本です。同書によれば将棋の世界では、10手先を読むだけで6万通り近くの可能性が広がっているそうです。

羽生さんはこの6万弱の選択肢を直観的能力で瞬時に絞り込み、次の一手をひねり出す。しかしたとえ羽生さんがいくら頭の回転が良い人だとしても、人間である限り制限時間内に6万弱の選択肢の全てを検討できるわけではありません。

一方で「PONANZA」のような人工知能を用いた将棋ソフトは、6万弱の選択肢全てを一瞬で検討し、その中から最も「評価値」(有利な手かどうかを判断する関数が導き出す数値)の高い一手を選んでいます。大局観で絞り込むのではなく、機械的に、論理的な思考で答えにたどり着くのです。その論理的思考力は人間とは比べものにならないほどの高さです。

 

人工知能は「クリエイティブな仕事」もカバーし始めている

従来、人工知能がクリエイティブな思考を持つようになるのは当分先だと言われていました。ところが近年では、そうした考え方が古いものだと誰もが気付くようになりました。例えば人工知能はすでに「レンブラントの新作」の制作に成功しています。レンブラントと言えば17世紀バロック期の人物で、同時期で「最大の巨匠」と呼ばれるほどの画家です。本来彼が「新作」を描くことはあり得ないはずです。

しかし2016年に、オランダのマウリッツハイス美術館とレンブラントハイス美術館のチームが、デルフト工科大学、マイクロソフトと協力して専用の人工知能を生み出し、人工知能は「The Next Rembrandt(ザ・ネクスト・レンブラント)」という1枚の絵を描いたのです。同チームは346点に上るレンブラントの全作品をスキャンし、テーマや構図、画材、筆づかいなどあらゆるレンブラントの特徴を人工知能に分析・学習させました。そうして人工知能は、彼の「新作」を描いたというわけです。

人工知能が進出しているのは、絵の分野だけではありません。文章も同様です。2016年にはアメリカを拠点にコピーライティングのための人工知能「Persado」を開発するために3,000万ドルもの出資金が集まっていますし、日本でも2017年に電通がAIコピーライター「AICO」が開発しています。また羽生さんはNHK番組の中で人工知能が作ったミュージカルを鑑賞していますが、前に挙げた書籍の中で「そうと言われなければ、人工知能が作ったとは気づかなかったように思います」(前掲書p135〜136)とコメントしています。

このような状況は数年単位で加速していくでしょう。そうなれば、クリエイティブな仕事が人工知能に奪われる可能性は十分あります。単純作業はなおさら人が介入するいとまがなくなるでしょう。

 

人口減少の進む日本において人工知能は「希望の星」

 

人工知能が企業の人手不足を解消する?

「人工知能に仕事を奪われる」と考えると、「人工知能は人類にとって脅威だ」と思われがちですが、少なくとも日本においては希望を生み出すものになるかもしれません。というのも今後日本の人口や労働人口は急速に減少していくからです。

国立社会保障・人口問題研究所が2018年4月10日に公表した「日本の将来推計人口」によれば、2053年には日本の人口は1億人を割って9,924万人となり、2065年には8,808万人にまで減るとされています(出生中位推計による)。少子高齢化社会の日本では、労働人口も減っていくのは間違いありません。近年は少子化の影響もあって転職市場が圧倒的な「売り手市場」になっていますが、今後企業はますます人材確保の難しさが課題になっていくでしょう。

ここで人工知能が役に立ちます。人工知能が人間の代わりに仕事をしてくれれば、膨大な採用コストをかけて人材を連れてくる必要はなくなります。人間のようにやる気やモチベーションを必要としない人工知能は、生産性が低くなりがちな単純作業でも効率良くこなしてくれます。

 

コンピューター化によって仕事は失われるのか?

2014年に英オックスフォード大学の研究チームが「雇用の未来—コンピューター化によって仕事は失われるのか」という論文を発表しました。この中で、702に分類した職種のうち、コンピューターに代替されるもの、されないものを分け、その割合を示しました。代替される可能性の高いものとして挙げられたのは、銀行の融資担当者やレストランのホール担当、レジ係やデータ入力作業員などでした。

同論文はアメリカの労働省のデータをもとにしており、これをそのまま日本に当てはまるわけではありません。しかし移民を積極的に受け入れているアメリカよりも、人口減少で人手不足が深刻な日本の方が「機械が人間の代わりに仕事をする未来」はイメージしやすいでしょう。

日本では「コンピューター化によって仕事が失われる」というよりも、「足りない人手を機械が担ってくれる」という表現の方が正確かもしれません。

 

人口減少・人工知能時代に求められるリーダーのスキル

このような「人口減少・人工知能時代」にあるからこそ、リーダーには今まで求められてこなかったスキルが必要になると考えられます。なぜなら人工知能に代替される仕事を続けていては、たとえ今何かのリーダーを任されていたとしても、遅かれ早かれ人工知能に置き換えられてしまうからです。

ではどのようなスキルがリーダーに求められるようになるのでしょうか。以下では「美意識」「逆行力」「イノベーション力」の3つを解説します。

 

瞬時に選択肢を絞り込む「美意識」

羽生さんは『人工知能の核』の中で、大局観で無数の選択肢の中から最適な一手を絞り込む際の基準は「美意識」だとしています。想定する棋譜を画像として認識し、瞬時にその美醜をして判断するそう。そのためには美しいものと醜いものを見分ける美意識を磨く必要があります。

人口減少・人工知能時代では、この美意識がビジネスのリーダーにも求められるでしょう。美意識は人工知能が身に付けるのが難しいスキルなのです。

実際このスキルに注目している人たちは多くいます。2016年11月13日の英フィナンシャルタイムズは、グローバル企業が幹部候補生をこぞってアートスクールや美術系大学への研修に送っていると伝えています。その目的は、スピーディに判断が下せる美意識を身に付けさせるためです。

 

論理と効率に抗う「逆行力」

そのため論理的・効率的な思考ができる人工知能は、多数派の結論を導き出すのに向いています。しかし近年のビジネスでは「多数派が正しいとは限らない」という例が数多く存在します。

例えば通販最大手のAmazonは、インターネットを使った圧倒的な品揃えで「ロングテール」と呼ばれる売れ筋以外の商品をかき集め、競争力を向上させました。千葉県船橋市在住のゆるキャラ「ふなっしー」も、論理的・効率的に考えれば決して発案されることがないキャラクターでしょう。デザインが洗練されているわけでないのは他のゆるキャラも同じですが、「しゃべる上に口が悪い」「激しく動く」「単独でタレント・歌手・声優としても活動する」など、ふなっしーは従来のゆるキャラの概念を打ち壊したものです。

こうした多数派の結論に逆行するような発想は、人工知能からは生まれにくいものです。私見では、これからのリーダーには「逆行力」とも言うべき、非論理的・非効率的な思考力が求められるのです。

安全策に甘んじない「イノベーション力」

仮に全ての株を人工知能が売買すれば、取引は成立しない可能性があります。なぜなら人工知能は論理的・効率的に考えるため、たった1つの銘柄に全ての人工知能が殺到してしまうからです。つまり人工知能は常に安全策を選び、ギャンブルをしないのです。

しかし急速に変化し続ける近年のビジネスシーンでは、安全策を選んでいるだけでは時代に取り残されてしまいます。時代の変化についていくためには、リーダーは今までとは全く違う新しい切り口を見つけ出さなければなりません。そのために、場合によっては安全策を捨て、大きな変化を起こすための「イノベーション力」が必要になるのです。

 

これまでもこれからも求められるスキル

 

リーダーにこそ求められる「決断力」

人口減少・人工知能時代に新たに求められるスキルがある一方で、今までと変わらずに求められ続けるスキルもあります。それは決断力です。決断することはリーダーの最も重要な仕事です。社長は社長、部長は部長、課長は課長と、それぞれの役職に対して果たすべき責任があり、責任を果たすためには自分の意思で決断しなければなりません。決断は判断とは違い、責任というリスクを負った意思決定です。これはリーダーしかできないものです。

人工知能があくまで人間の道具である限り、人工知能が独自で決断することはできません。人工知能には、人間の決断をサポートすることしかできないのです。人工知能が多くの仕事をするような状況になっても、リーダーの決断力は変わらず求められ続けるでしょう。

人間らしさの極致「ヒューマンスキル」

また「ヒューマンスキル」もリーダーに求められ続けるスキルの一つです。ねぎらいの言葉をかけて配慮し、相手の細かな感情の機微を読み取って対応を変え、部下の性格に応じて育て方を変え……そうして信頼関係を築き、コミュニケーションをとるスキルです。

こうした「人間らしい」スキルも、人工知能の分野では研究されています。人間の表情や声色から感情を読み取り、行動に反映させるロボット「Pepper」はその一例です。しかしヒューマンスキルを情報にするのは非常に難しく、まだ当分、「人間らしい対応」はできないと考えられます。このスキルは今後も人間のリーダーに求められ続けるでしょう。

 

移り行く時代にリーダーとしてどう振る舞うか?

人口減少や人工知能の発達を考えれば、「人工知能のリーダーが人間のリーダーに取って代わる日」は必ずやってきます。人間がリーダーとして生き残るためには、人間にしかできない仕事をするように意識する必要があります。その答えを出すためには、日々の仕事の中で「移り行く時代にリーダーとしてどう振る舞うか」を考え続ける必要があるでしょう。

 

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